喪主の挨拶 例文|通夜・告別式・献杯でそのまま使える文例

葬儀作法

身内を送る喪主には、参列者の前で挨拶を述べる場面が何度も訪れます。悲しみの中で言葉を選ぶ余裕はなく、明日の通夜までに何を話せばよいのか見当がつかない方も多いはずです。

喪主の挨拶とは、会葬への礼と生前の厚情への感謝を、遺族を代表して述べる短い言葉を指します。決まった型があるので、故人の名前と続柄を差し替えれば、そのまま読み上げてかまいません。

通夜、告別式の出棺、通夜ぶるまいの献杯、お開きという4つの場面ごとに、声に出して2分以内で収まる例文をそろえました。宗派によって使えない言葉もあるので、自分の家の宗教に置き換えながら読み進めてください。

喪主の挨拶の基本

喪主の挨拶は、うまく話すことより、礼を伝えることが求められる場です。ここでは述べる長さと中身、避けたい言葉について説明します。

挨拶は1分から2分で述べ切る

挨拶は、1分から2分で述べ切る長さがちょうどよく収まります。原稿にすると400字ほどで、ゆっくり読み上げて2分前後です。参列者は立ったまま聞いていることが多く、長く語るほど場が重くなります。故人との思い出を語りたい気持ちがあっても、通夜の席では要点だけを伝えれば足ります。

話し慣れていないなら、紙に書いて読み上げてかまいません。手元の原稿を見ながら話しても、失礼にはあたりません。むしろ言葉に詰まって沈黙が長引くほうが、参列者を落ち着かなくさせます。原稿は行頭を大きめの字で書き、暗い会場でも目で追えるようにしておきましょう。

述べる中身は会葬への礼と生前の厚情への感謝

挨拶で必ず入れるのは、会葬への礼と、故人が生前に受けた厚情への感謝の2つです。この2つさえ述べれば、挨拶としては成立します。喪主が名乗るときは、氏名の前に故人との続柄を添えます。参列者の中には遺族の顔を知らない方もいるためです。

余裕があれば、故人の最期の様子や人柄を一言添えると、参列者の心に残ります。ただし病名や亡くなった経緯を細かく語る必要はありません。通夜なら通夜ぶるまいへの案内、告別式なら出棺の見送りへの願いを最後に置き、次の動きを伝えて締めます。礼と感謝を先に置いて次の動きを最後に伝えるという順番は、四十九日の法要でも、後年に親族へ墓じまいの挨拶を述べるときでも変わりません。何を入れるか迷ったら、礼と感謝の2つに絞って組み立ててください。

忌み言葉は言い換えて避ける

忌み言葉とは、弔いの席で避けられてきた言葉です。重ね重ね、たびたび、返す返すのように同じ音を繰り返す言葉は、不幸が続くことを連想させるとして嫌われます。再びや続いてといった言い方も同じ理由で避けます。死亡や死んだという直接的な言葉も、ご逝去やお亡くなりになったへ置き換えるのが通例です。

言い換えの目安は下のとおりです。

避ける言葉 言い換え
重ね重ね・たびたび・返す返す あらためて・深く
再び・続いて・引き続き その一文ごと省く
死亡・死んだ ご逝去・お亡くなりになった
生きていた頃 ご生前・お元気だった頃
迷う・浮かばれない 使わない

すべてを覚える必要はありません。原稿を書き終えてから声に出して読み返し、繰り返しの音が入っていないかだけ確かめれば十分でしょう。

通夜の挨拶の例文

通夜の挨拶は、読経と焼香が終わり、参列者を通夜ぶるまいへ送り出す場面で述べます。ここでは例文と、差し替える箇所を説明します。

通夜の挨拶は参列の礼と通夜ぶるまいの案内で締める

通夜の挨拶では、参列への礼を述べ、翌日の葬儀の日時を伝え、通夜ぶるまいへ案内する流れで組み立てます。僧侶が退席したあと、喪主が祭壇の前へ進んで述べるのが通例です。声を張る必要はなく、前列の親族に届く大きさで十分でしょう。

次の例文は、括弧の中を自分の家の言葉に入れ替えてお使いください。

本日はご多用のところ、亡き(故人の名前)の通夜にお運びくださり、まことにありがとうございます。
(続柄)の(喪主の名前)でございます。
(故人の名前)は(年齢)歳で、家族に見守られながら旅立ちました。
ご生前に賜りましたご厚情に、遺族を代表して厚く御礼申し上げます。
別室にささやかながらお食事の席をご用意いたしました。
お時間の許す方は、(故人の名前)の思い出をお聞かせいただければ幸いに存じます。
なお、葬儀は明日(日時)より、(場所)にて執り行います。
本日はまことにありがとうございました。

読み上げるとおよそ1分半です。通夜ぶるまいを設けない家なら、食事の案内にあたる2文を省き、翌日の葬儀の日時だけを伝えて締めてください。

差し替えるのは名前と続柄、葬儀の日時

例文で差し替えるのは、括弧で示した箇所です。故人の名前、喪主から見た続柄、故人の年齢、そして翌日の葬儀の日時と場所を入れます。続柄は、長男や妻のように参列者から見て関係がわかる言い方を選ぶとよいでしょう。孫が喪主を務めるなら、祖父(名前)の孫にあたりますと添えると伝わりやすくなります。

最期の様子を述べる一文は、家によって書き換えて差し支えありません。突然の別れなら急なことでと一言添え、長い療養の末なら入院中は皆さまにお見舞いいただきと礼を添える形にします。病名や亡くなった経緯まで話す必要はありません。触れたくないなら、その一文ごと省いてかまいません。

身内だけで営む家族葬なら、名乗りを省いて短く述べる家もあります。差し替えを終えたら声に出して読み、2分を超えていないか計ってみてください。

通夜ぶるまいを設けないなら食事の案内を省いて述べる

通夜ぶるまいを設けない家では、例文のうち食事の案内にあたる2文をそのまま省きます。近しい身内だけで営む通夜では、会食の席を開かない家も増えました。ただ、参列者は案内があるものと思って待っていることがあります。何も告げずに挨拶を終えると、行き先がわからないまま会場に残る方が出てしまうのです。省くと決めたなら、その場で一言だけ言い添えて締めてください。

言い添えるのは、席を用意していない旨と、このまま帰っていただいてよいという合図の2つです。理由を細かく述べる必要はありません。折詰や返礼品を渡す家なら、受け取りの場所も同じ場面で伝えておきましょう。

本日はご多用のところ、亡き(故人の名前)の通夜にお運びくださり、まことにありがとうございます。
(続柄)の(喪主の名前)でございます。
本来であればお食事の席をご用意すべきところ、本日は略させていただきました。
どうぞご了承くださいませ。
ご生前に賜りましたご厚情に、遺族を代表して厚く御礼を申し上げます。
なお、葬儀は明日(日時)より、(場所)にて執り行います。
本日はまことにありがとうございました。

読み上げるとおよそ1分です。会食を開かないと事前にわかっているなら、訃報や案内の連絡でも触れておくと、参列者は帰りの予定を立てやすくなります。

告別式・出棺の挨拶の例文

告別式の挨拶は、出棺の前に喪主が会葬者へ向けて述べます。ここでは例文と、喪主自身が読み上げられない場合の頼み方を説明します。

出棺の挨拶は棺を霊柩車へ納めたあとに述べる

告別式の挨拶は、出棺の直前に述べるのが通例です。棺を霊柩車へ納め、喪主が遺影を抱えて会葬者の前に立ち、見送りへの礼を伝えます。この場面は屋外になることが多く、会葬者は立ったまま待っています。長さは1分ほどに抑え、火葬場へ向かう車が待っていることも頭に入れておきましょう。

例文は次のとおりです。括弧の中はご自身の家の言葉に入れ替えてお読みください。

本日はご多用のところ、亡き(故人の名前)の葬儀ならびに告別式にご会葬いただき、まことにありがとうございました。
(続柄)の(喪主の名前)でございます。
遺族を代表いたしまして、ひとことご挨拶を申し上げます。
(故人の名前)は(年齢)歳で、(月日)に永眠いたしました。
ご生前に賜りました皆さまの温かいお付き合いに支えられ、(故人の名前)は幸せな一生を送ることができました。
残された私どもは力の足りない者ばかりでございますが、皆さまのお力添えをいただきながら歩んでまいります。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、お願い申し上げます。
本日はまことにありがとうございました。

読み上げるとおよそ1分です。会葬者が多いときほど短く切り上げ、火葬場までの道のりが長い日は、車の出発時刻を葬儀社に確かめてから話し始めましょう。

例文を読み上げられないときは親族に代読を頼む

喪主が気持ちを抑えられず声が出ない場面は珍しくありません。そのときは、喪主に代わって親族の一人が例文を読み上げてかまいません。故人の兄弟や、喪主の配偶者が代読する家もあります。読み上げる人は冒頭で喪主に代わりましてと断り、続柄と名前を名乗ってから本文へ入るとよいでしょう。

代読を頼むなら、当日の朝までに原稿を渡しておきます。葬儀社の司会者が進行を担う場合は、挨拶の順番と立ち位置も打ち合わせておきましょう。喪主が最後まで自分で述べたいなら、途中で言葉に詰まっても構いません。参列者は上手な挨拶を聞きに来ているわけではないので、詰まった分だけ気持ちが伝わります。無理をせず、誰が読み上げるかを前日までに決めておいてください。

喪主以外が述べるなら親族代表と名乗って言い回しを替える

喪主が高齢であったり、体調がすぐれずに人前へ立てなかったりする家では、親族の一人が代表として挨拶を述べます。代読との違いは、名乗りと立場の2つです。代読は喪主の原稿をそのまま読み上げる形ですが、親族代表として述べるなら、自分の名前と故人との続柄を名乗り、喪主に代わって立った事情を短く添えます。会葬者は誰が話しているのかを知らないまま聞いているためです。

替えるのは冒頭の名乗りと締めの一文で、本文の中ほどは例文のままで差し支えありません。遺族を代表いたしましてという言葉は、親族を代表いたしましてへ改めます。喪主が会場にいるなら、挨拶のあいだ遺影のそばに立ってもらうと、会葬者から見た関係がわかりやすくなるでしょう。

本日はご多用のところ、亡き(故人の名前)の葬儀ならびに告別式にご会葬いただき、まことにありがとうございました。
私は(故人の名前)の(続柄)にあたる(親族の名前)と申します。
喪主の(喪主の名前)に代わりまして、親族を代表し、ひとことご挨拶を申し上げます。
(故人の名前)は(年齢)歳で、(月日)に永眠いたしました。
ご生前に賜りました皆さまの温かいお付き合いに支えられ、(故人の名前)は幸せな一生を送ることができました。
遺されました家族へも、これまでと変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
本日はまことにありがとうございました。

読み上げるとおよそ1分です。誰が立つかは当日の朝までに親族のあいだで決め、葬儀社の司会者にも名前を伝えておいてください。

献杯とお開きの挨拶の例文

通夜ぶるまいやお斎の席は、喪主の挨拶と献杯で始まり、喪主の挨拶で幕を閉じます。ここでは開式とお開きの例文、そして献杯の作法を説明します。

開式の挨拶はそのまま献杯へつなぐ

開式の挨拶は、参列への礼を述べ、食事を勧め、献杯の発声へつなぐ流れです。参列者は席に着いて待っているので、前置きを長くせず本題から入ります。献杯の発声を親族へ頼むなら、席に着く前に声をかけて引き受けてもらいましょう。

例文は次のとおりです。喪主が自分で献杯まで発声する形にしています。

本日はご多用のところ、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ささやかではございますが、お食事をご用意いたしました。
お時間の許すかぎり、(故人の名前)の思い出話をお聞かせいただければと存じます。
それでは、(故人の名前)のご冥福をお祈りし、献杯をさせていただきます。
献杯。

声に出すとおよそ40秒です。発声を親族へ頼む場合は、最後の2文を省いてその方へ向き直り、目を合わせてから合図を送りましょう。

献杯は杯を高く上げず唱和も控えめにする

献杯とは、故人へ杯を捧げる弔事の作法です。慶事の乾杯とは違い、杯を目の高さまで上げません。声も張らず、唱和は隣に届く程度の大きさで献杯と述べます。杯を打ち合わせることもしません。

献杯のあとに拍手を入れないのが弔事の席の決まりです。

発声する人は、僧侶と参列者が杯を手にしたのを見てから声を出します。飲めない方には烏龍茶などを注いでおくと、無理に酒を勧めずに済みます。杯は口をつける程度で置いてかまいません。喪主が発声するなら、挨拶を終えた位置のまま杯を胸の高さで持ち、参列者の顔を見てから献杯と声に出してください。

お開きの挨拶は礼と今後の付き合いの願いで締める

お開きは、喪主がもう一度立って告げます。話が弾んでいても、遠方から来た方の帰りの時間を見て頃合いで切り上げます。締めの挨拶で述べるのは、参列への礼と、これからも変わらぬ付き合いを願う言葉の2つです。

例文は次のとおりです。

本日は、(故人の名前)のためにお集まりいただき、まことにありがとうございました。
皆さまから(故人の名前)の思い出をお聞かせいただき、家族にとって何よりの供養となりました。
名残は尽きませんが、夜も更けてまいりましたので、このあたりでお開きとさせていただきます。
遺されました家族へも、これまでと変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます。
どうぞお気をつけてお帰りください。

読み上げると40秒ほどです。法要のあとのお斎の席なら、夜も更けてまいりましたのでをお時間も過ぎてまいりましたのでへ替えます。挨拶が済んだら出口に立ち、一人ひとりを見送りながら返礼品を手渡してください。

宗教と宗派による言い回しの違い

例文に出てくる冥福や供養という言葉は、どの家でも使えるわけではありません。ここでは浄土真宗と、神式やキリスト教で言い換える箇所を説明します。

浄土真宗では冥福や霊前という言葉を使わない

浄土真宗では、亡くなった方はすぐに仏になるという往生即成仏の教えを説きます。あの世で迷う期間があるという考え方を採らないため、冥福を祈るという言い回しがなじみません。香典の表書きも、通夜のときから御霊前でなく御仏前を用います。開式の例文で献杯へつなぐなら、ご冥福をお祈りしの部分を、(故人の名前)を偲びへ置き換えれば差し支えありません。

言い換えを知らないまま述べても、とがめられることはまずありません。ただ、菩提寺の住職が同席する席では、教えに沿った言葉を選ぶほうが落ち着きます。自分の家の宗派がはっきりしないなら、葬儀を頼んだ葬儀社か菩提寺に確かめられます。宗派がわかったら、原稿の冥福と霊前の2語だけ先に見直しておきましょう。

注意

表書きや言い回しの決まりは宗派によって変わります。よその家のやり方をそのまま当てはめず、菩提寺に確かめてから原稿を仕上げてください。:::
### 神式とキリスト教では成仏や供養を使わない
神式やキリスト教の葬儀では、仏教の言葉をそのまま持ち込みません。成仏、供養、冥福、往生はいずれも仏教の考え方にもとづく言葉なので、別の言い方へ置き換えます。神式なら御霊の安らかならんことをお祈りする、キリスト教なら安らかな眠りをお祈りするといった言い方に替える家が多いようです。香典にあたる表書きも、神式は御玉串料や御榊料、キリスト教は御花料と書きます。
献杯そのものも、神式やキリスト教の席では行わないことがあります。神式では直会と呼ぶ会食があり、キリスト教では茶話会の形をとる教会もあるためです。どの言葉が使えるかは、宗教だけでなく地域や教会の考え方でも変わるものです。断定できる決まりはないので、司式者や葬儀社に一言確かめてから原稿を仕上げてください。
## まとめ
喪主の挨拶は、会葬への礼と生前の厚情への感謝を、1分から2分で述べれば十分です。通夜は翌日の葬儀の日時と通夜ぶるまいの案内で締め、告別式は出棺の直前に見送りへの礼を述べます。会食は開式の挨拶からそのまま献杯へつなぎ、杯は高く上げず、唱和は控えめにし、拍手はしません。お開きは参列への礼と変わらぬ付き合いを願う言葉で締めくくります。原稿は括弧の中を自分の家の言葉へ差し替え、重ね重ねやたびたびのような繰り返しの音が残っていないか、声に出して確かめてください。浄土真宗なら冥福と霊前を、神式やキリスト教なら成仏や供養を別の言葉へ置き換え、迷ったら僧侶や葬儀社に率直に尋ねながら仕上げていきましょう。
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