喪中はいつまで・どこまで|期間と範囲に決まりはない

期間と範囲

身内を亡くすと、喪中がいつまで続くのか、どの親族まで喪に服すのかを知りたくなる方は多いでしょう。年賀状の準備や正月の予定が絡めば、なおさら早く答えがほしくなります。

ところが調べても答えが出そろわないのには理由があります。喪中の期間を定めた法令は現在なく、範囲を決めた主体も見当たりません。北海道神社庁は、喪中を日常に戻るための心のけじめとし、日数の定めがなく個人の心情に委ねられていて長くても1年だと説明しています。

決まりがないなら何を手がかりにするのか。忌と喪の長さの違い、続柄ごとに示される目安の幅、二親等という線引きの出どころまでを順に見ていきます。読み終えたときに、自分の家の区切りをどこに置くかを決められる形で並べました。

喪中の期間

喪中の長さを調べると、1年という数字と、それより短い日数の両方が出てきます。ここでは、喪中の期間に法令の定めがない点と、忌と喪の長さの違い、上限とされる1年の意味を説明します。

喪中の期間を定めた法令は存在しない

喪中の期間を定めた法令は、現在ありません。忌中と喪中の日数は、江戸幕府が定め明治政府が引き継いだ服忌令に由来するとされます。北海道神社庁は、明治7年まで国が定めていた服忌の規定があり、その後は民間習慣として受け継がれてきたと説明しました。

法令が無いというのは、守らなければ咎められる決まりが無いという意味です。神社が公式ページで示している日数も、法律ではなく慣例として案内されたもの。葬儀社が挙げる期間の目安にいたっては、その葬儀社自身が参考程度と留保を付けています。喪中はいつまでかという問いに、法的な正解を探しても見つかりません。まず、自分が守るべき決まりを探す姿勢を手放すところから始めてください。

忌と喪は長さの違う別の期間

忌と喪は、長さも中身も違う期間です。神社本庁は、故人の祭りに専念する期間を忌、故人への哀悼の気持ちを表す期間を服と呼び分けています。特に慣例がない場合、五十日祭までが忌、一年祭までが服にあたるとのこと。世間で喪中と呼ばれているのは、後者の服の期間です。

北海道神社庁の説明では、忌中は死のけがれのある期間で最長50日、喪中は忌明けの後に日常へ戻るための心のけじめとされます。喪中の最初の50日ほどは忌中と重なっていて、そこを過ぎると喪中だけが残る形。神社への参拝を控えるとされているのは忌の間で、喪中の1年間ではありません。喪中がいつまでかを考える前に、自分の忌がいつ明けるかを命日から数えておきましょう。

喪中は長くても1年とされる

喪中の上限は、長くても1年とされます。北海道神社庁は、喪中に日数の定めはなく個人の心情に委ねられるとしたうえで、最長でも1年だと説明しています。神社本庁が特に慣例がない場合として示す服の期間も、一年祭までです。1年という数字は、ここから出てきました。

上限が1年ということは、1年より短くても差し支えないという話でもあります。喪中を丸ごと1年続けなければ落ち度になる、という決まりはどこにもありません。父母を亡くした場合と、遠縁の親族を亡くした場合とで、気持ちの区切りが同じ長さになるほうが不自然でしょう。1年という数字を上限として受け取り、自分の家の区切りはその内側で決めてください。

続柄ごとの喪中の期間の目安

決まりがないとはいえ、続柄ごとの目安として流通している日数はあります。ここでは、その目安がどう示されているかと、忌明けの数え方、区切りを誰が決めるのかを見ていきます。

続柄ごとの目安は単一の日数ではなく幅で示される

続柄ごとの目安は、単一の日数ではなく幅で示されています。葬儀社大手が公開している目安を並べると、次のようになります。

続柄 喪中の期間の目安
父母・義父母 12〜13か月
3〜12か月
祖父母 3〜6か月
兄弟姉妹 1〜6か月
注意

この目安は葬儀社が一般的な例として挙げているもので、公的な根拠はありません。葬儀社自身も参考程度としています。:::
幅で書かれている点に、この目安の性格が出ています。子であれば3か月で区切る家もあれば12か月とする家もある、という意味で、どこかに正解の一点があるわけではありません。祖父母は6か月だと単一の数字で書いてあるページを見かけても、その数字を絶対のものとして受け取らないでください。
### 忌明けの時期は喪中とは別に数える
忌が明ける時期は、喪中の長さとは別に数えます。忌の日数は続柄で変わり、父母や配偶者なら50日、祖父母なら30日と案内する神社が多くあります。神道で忌明けの目印になるのは五十日祭で、仏式なら四十九日法要が近い時期に営まれるところ。
喪中の目安が月単位なのに対して、忌の日数は日単位で示されています。長さが違うだけでなく、数えるものが別だという点が押さえどころ。神社参拝を控えるかどうかは忌の日数で決まり、喪中の目安とは関係しません。忌の日数の詳しい幅は[喪中の神社参拝](/mochu-jinja/)の記事に、四十九日法要そのものの流れは[四十九日法要とは](/shijukunichi-towa/)の記事にまとめています。喪中の長さと忌明けの日を、別々にカレンダーへ書き込んでおくと迷いが減るでしょう。
### 喪中の区切りは家ごとに決める
喪中をどこで区切るかは、家ごとに決めることになります。日数の定めがなく個人の心情に委ねられている以上、外から答えを持ってくる先がありません。北海道神社庁の説明も、日数を指定するのではなく、日常に戻るための心のけじめという性格を示しただけです。
とはいえ一人で決めきる必要もありません。年賀状を出すかどうかや正月の集まりをどうするかは、家族や親族と足並みがそろっていないと具合が悪くなります。同じ祖父母を亡くした親族どうしで、片方が喪中はがきを出し、片方が年賀状を出すという食い違いも起こります。上限の1年を頭に置いたうえで、年内のうちに親族と話して区切りをそろえておいてください。
## 喪中の範囲
期間と並んで迷うのが、どの親族まで喪に服すのかという範囲の話です。ここでは、二親等という線引きの出どころと、配偶者の親族の数え方、目安から外れる親族の扱いを説明します。
### 二親等までと決めた主体は存在しない
喪中は二親等までと決めた主体は、見当たりません。葬儀社大手は一般的に二親等までと説明していますが、その説明自体に参考程度という留保が付いています。決まりだから二親等なのではなく、そう言われることが多いという以上の話ではないところ。
決めた主体がいないと分かると、線引きの見え方が変わります。二親等の外にいる親族を喪中から除外する根拠にはならず、二親等の内側にいる親族を必ず含めなければならない根拠にもなりません。神社本庁が公開している服忌の一覧も、続柄を並べているだけで、二親等という言い方をしていません。二親等という数字を境界線として使う前に、それが誰の決めたものでもない点を確かめておきましょう。
### 配偶者の親族も同じ数え方で数える
配偶者の親族を数えるときも、自分の親族と同じ数え方をします。配偶者の両親は1親等、配偶者の祖父母は2親等という具合。義父母を亡くした場合の期間の目安が、実の父母と同じ12〜13か月として案内されているのも、この数え方に沿ったものです。
夫の側と妻の側で扱いを変える決まりも見当たりません。同居していたかどうか、日ごろ行き来があったかどうかで、実感としての距離が変わるだけです。配偶者の親族だから軽く扱う、という考え方をとる家もありますが、そこに根拠となる規定があるわけでもないところ。夫婦で話し合って、どちらの側の親族も同じものさしで見るかどうかを決めてください。
### 3親等でも同居や親交があれば喪に服す
3親等の親族でも、喪に服す家はあります。おじやおばは3親等にあたり、二親等までという目安からは外れます。それでも葬儀社大手は、3親等から喪中としないことが多いとしたうえで、縁が深い場合は親等に関わらず喪に服してもよいと書いています。同居していたり親交が深かったりすれば、目安の外にいる親族でも喪中とすることがあるとのこと。
同居や親交の話は、範囲を狭めるためではなく、含める人を広げるほうの目安として使われています。
この向きを取り違えないでください。別居している祖父母は2親等の内側にいるので、別居を理由に喪中から外してよいという話にはなりません。逆に、一緒に暮らしていたおじを喪中に含めるのは、目安から外れていても不自然ではないところ。親等の数字で機械的に切らず、その方との関わりの深さで決めてよいと考えておきましょう。
### 範囲に迷ったら喪中はがきを出す相手から考える
範囲に迷ったら、喪中はがきを誰に出すのかという側から考える手もあります。喪に服す範囲を決める作業は、実務としては年賀状を控える相手を決める作業と重なるためです。抽象的に何親等までかを考えるより、具体的な相手の顔が浮かぶぶん決めやすくなるでしょう。
故人と面識のない仕事関係の方に喪中はがきを出すかどうかは、家によって判断が分かれます。故人と付き合いのあった方には出し、自分の仕事関係には例年どおり年賀状を出す、という分け方をする家もあります。どちらを選んでも咎められる決まりはありません。喪中の範囲を人数の線引きとして考え込む前に、誰に何を出すかを紙に書き出してみてください。
## 服忌令と喪中の由来
期間と範囲の話には、服忌令という古い法令の名前がよく出てきます。ここでは、その服忌令がどういうものだったのかと、二親等という説明との食い違いを見ていきます。
### 服忌令は江戸幕府が定め明治政府が引き継いだ
服忌令は、江戸幕府が定めた喪に服す期間の規定です。明治政府はこれを引き継ぎ、明治7年10月17日の太政官布告第108号として定めました。父母を亡くした場合を忌50日・服13か月とするなど、続柄ごとに忌と服の日数が示されています。父母が13か月という日数は、今の目安に近い形で残りました。
現在の目安の日数が服忌令に近いのは、この流れがあるためです。北海道神社庁も、明治7年まで国が定めていた服忌の規定が、その後は民間習慣として受け継がれてきたと説明しています。国が定めていた時期があったという事実と、今も法令があるという話は別のものになります。今の喪中の日数を法令の名前で権威づけている説明を見かけたら、それが慣習の話だと読み替えてください。
### 服忌令の区分は親等ではない
服忌令は、親族を親等で区分していません。用いられていたのは尊卑と親疎による6段階の区分で、親等という数え方とは別のものさしです。二親等までという線引きが服忌令に由来する、という説明を見かけますが、区分の仕方がそもそも噛み合っていません。
親等は民法が定める数え方で、戦後の考え方を古い規定に後から当てはめた説明である可能性が高いところ。神社本庁が公開している服忌の一覧も、続柄を並べる形で書かれていて、二親等という言い方は出てきません。由来を語る説明のほうが権威があるように見えるものの、中身が噛み合っていなければ根拠にはなりません。二親等という数字を服忌令で裏づけようとする説明は、そのまま受け取らずに読んでください。
## 喪中の期間中に控えること
期間と範囲が決まっても、その間に何を控えるのかで迷いが残ります。ここでは、忌と喪で控えるものが違う点と、迷ったときの確かめ先を説明します。
### 神社参拝の可否は忌が明けたかで決まる
神社に参拝できるかどうかは、喪中かどうかではなく忌が明けたかどうかで決まります。神社本庁は、忌の間は神社参拝と神棚のおまつりを控えるとし、50日を過ぎれば原則として参拝や家庭でのおまつりを再開しても差し支えないと考えられるとしています。控える対象として挙がっているのは忌であって、喪ではありません。
喪中の1年間ずっと神社に近づけない、という説明はここを取り違えたものです。北海道神社庁は、家が1年の間喪中であっても、50日が過ぎれば新年の神札を受けられると説明しました。同時に、門口の正月飾りは外に対して1年間は喪家であるため遠慮するとも書いています。神札は忌明けで再開し、正月飾りは1年控えるという差が、忌と喪の長さの違いをそのまま映したもの。参拝の可否で迷っているなら、[喪中の神社参拝](/mochu-jinja/)の記事で忌明けの数え方を確かめてください。
### 控えるとされることは忌と喪で違う
控えるとされている行いは、忌の間と喪の間で違います。忌の間に控えるものとして神社の公式ページに挙がっているのは、神社参拝と神棚のおまつり、お神札やお守りを受けることなど。50日ほどで終わる短い期間の話です。
喪の間に控えるとされるのは、年賀状や正月飾りといった祝い事にあたるもので、こちらは1年という長さで語られます。ただし、この2つは説明の出どころが違います。神社参拝を控える根拠は神社本庁の見解で確かめられるのに対して、正月飾りやおせちを控える理由を示した神社の公式ページは見当たらず、葬儀社の記事が中心。喪中に何を控えるかを場面ごとに知りたい方は、[喪中にやってはいけないこと](/mochu-yaranai-koto/)の記事で確かめてください。
### 迷ったら親族と参拝先に確かめる
期間や範囲で迷ったら、親族と参拝先の神社に確かめるのが確実です。決まりが無い以上、最後に頼りになるのは地域の慣例と家の判断になります。神社本庁も、各地域の慣例に従うのが適切だと添えています。
親族には、喪中はがきを出す範囲と正月の集まりをどうするかを聞いておきます。参拝先の神社には、命日を伝えて忌明けの日を尋ねれば、その神社の考え方に沿った答えをもらえるでしょう。年末年始の社務所は混み合うので、12月の早いうちに連絡しておくと落ち着いて話せます。よそのページに書かれた数字を当てはめる前に、自分の家と地元の神社に聞くところから動いてみてください。
## まとめ
喪中の期間と範囲には、日数を定めた法令も、範囲を決めた主体もありません。北海道神社庁は、喪中を日数の定めがなく個人の心情に委ねられるものとし、長くても1年としています。続柄ごとの目安は葬儀社が幅を持って示しているもので、葬儀社自身が参考程度と留保を付けたもの。二親等までという線引きも決めた主体がなく、服忌令は親等ではなく尊卑と親疎の6段階で親族を区分していたため、由来としても噛み合いません。同居や親交の話は、範囲を狭めるためではなく含める人を広げるほうに使われています。神社参拝を控えるかどうかは喪中の長さではなく忌が明けたかどうかで決まるので、まず命日から50日を数え、そのうえで家の区切りを親族と話して決めてください。
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