手元供養とは|方法と費用の目安・メリットと他の供養との併用

供養・埋葬方法

墓じまいをしたあと、遺骨をすべて手放してしまうことに寂しさを感じる方は少なくありません。故人を身近に感じていたい、命日に手を合わせる先が欲しい。そんな思いに応える供養の形が手元供養です。ただ、名前は聞いたことがあっても、具体的にどうするのか、費用はいくらかかるのかは、よくわからないまま、という方も多いはずです。

手元供養には、ミニ骨壷やアクセサリーなど、さまざまな方法があります。遺骨の一部だけを手元に残し、残りは別の形で供養することもできます。方法や注意点を知っておくことが、自分の気持ちに合った供養を選ぶうえで欠かせません。

この記事では、手元供養の意味から、方法、費用、メリット、注意点、他の供養との組み合わせまでをまとめて解説します。自分に合う供養の形を見つける手がかりとして読み進めてみてください。

手元供養とは

手元供養を検討する前に、まずそれがどういう供養なのかを押さえておきましょう。意味と背景を知っておくと、方法や費用の話も理解しやすくなります。ここでは、手元供養とは何かについて解説します。

手元供養の意味

手元供養とは、遺骨の全部または一部を、お墓に納めず自宅など身近な場所で保管して供養する方法です。手のひらに乗るミニ骨壷に納めたり、遺骨を加工したペンダントを身につけたりと、形はさまざまあります。お墓や納骨堂に納める従来の供養と違い、故人を毎日の暮らしのそばで感じられます。

墓じまいで取り出した遺骨のうち、ごく一部だけを手元に残す使い方も広がっています。厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和4年度の改葬件数は全国で151,076件にのぼり、過去最多を記録しました。お墓を手放す人が増えるなかで、遺骨との距離をどう保つかという問いに、手元供養は一つの答えを示します。まずは手元供養がどんな供養なのかを、この意味から押さえておきましょう。

選ばれる背景

手元供養が選ばれる背景には、お墓の承継者がいない事情や、費用を抑えたい事情があります。子や孫に管理を頼めない世帯が増え、遠方のお墓まで通えない人も多くなりました。お墓を持たない供養が広がるなかで、それでも故人を身近に感じたいという思いが手元供養を後押ししています。

散骨や永代供養と組み合わせて、遺骨のごく一部だけを手元に残す選び方も増えています。遺骨の大半を永代供養に預けて管理を任せ、残った少量を自宅で供養すれば、承継の心配と身近さを両立できます。自分の家族構成や住まいの事情に照らして、手元供養が合うかどうかを一度考えてみてください。

手元供養の方法

手元供養には、遺骨の残し方や納め方によっていくつかの方法があります。方法を知っておくと、自分の希望に合う形を選びやすくなります。ここでは、手元供養の方法について解説します。

ミニ骨壷に納める

ミニ骨壷に納める方法は、手元供養のなかで最も選ばれています。手のひらに乗るほどの小さな骨壷に、遺骨の一部を移して自宅に置きます。素材は陶器や金属、ガラスなどがあり、写真立てのようなデザインや、インテリアになじむ色合いのものもそろっています。納骨用の小袋やスプーンが付いた品もあり、遺骨を移す作業に不慣れでも扱えます。

大きな仏壇がなくても、リビングや寝室の棚にそっと置いて手を合わせられます。骨壷本体の値段は数千円から数万円ほどで、他の方法に比べて手軽に始められます。まずどの方法にするか迷うなら、扱いやすいミニ骨壷から検討してみてください。

遺骨をペンダントにする

遺骨をペンダントにする方法は、故人をいつも身につけていたい方に選ばれます。遺骨の一部を小さな容器に納めるタイプと、遺骨を樹脂やガラスに封じ込めて加工するタイプがあります。金属や天然石を使った上品なデザインが多く、ふだんの服装にも合わせられます。気密の加工がされた品なら、汗や水にぬれても中まで湿気が入りません。

肌身離さず持てるので、外出先でも命日でも、故人を近くに感じられます。値段はデザインや素材で幅があり、数千円から数万円ほどが目安になります。身につける供養に心が動くなら、素材とデザインを見比べてペンダントを選んでみてください。

遺骨をダイヤモンドに加工する

遺骨をダイヤモンドに加工する方法は、遺骨に含まれる炭素成分を取り出して人工の宝石を作るものです。できあがった石は指輪やペンダントに仕立てられ、形として長く手元に残せます。透明なものから青みを帯びたものまで、色を選べる業者もあります。国内で加工する業者と海外の設備へ送る業者があり、期間や料金は異なります。

加工には数十万円ほどの費用がかかり、石が仕上がるまで数か月の期間を要します。世界に一つの形で故人を残したい方に向く方法です。申し込む前に、費用の総額と仕上がりまでの期間を業者にはっきり確かめておきましょう。

自宅に安置する

遺骨を自宅に安置する方法は、これまでの骨壷をそのまま手元に置いて供養するものです。専用の供養品を新たに買わなくても、火葬後や墓じまいで取り出した骨壷を、居間の一角や仏壇に安置できます。すぐに費用が発生しないので、供養の形をゆっくり決めたい方に向いています。仏具店では手元供養用の小さな台座も買え、骨壷を安定して置けます。

気をつけたいのは、自分が亡くなったあとに誰が骨壷を引き継ぐかという点です。承継する人がいないと、遺骨の行き場が決まらないまま残ってしまいます。自宅安置を選ぶなら、その後に納める永代供養や散骨の先も一緒に考えておきましょう。

手元供養にかかる費用

手元供養は、方法によって費用が大きく変わります。費用の目安を知っておくと、無理のない形を選べます。ここでは、手元供養にかかる費用について解説します。

供養品の費用

ミニ骨壷やペンダントなどの供養品は、数千円から数万円ほどで用意できます。素材やデザインによって値段の幅があり、シンプルな陶器の骨壷なら数千円で見つかります。金属や天然石を使った品や、名入れを加えた品は、そのぶん値段が上がります。布張りの小箱に納めるタイプなら、仏壇がなくても違和感なく飾れます。

骨壷とペンダントを両方そろえたり、家族の人数ぶん用意したりすると、合計の費用はその分だけ増えます。お墓を建てる費用と比べれば、手元供養の出費はかなり小さく収まります。まず予算の上限を決めてから、その範囲で供養品を選んでみてください。

加工の費用

遺骨をダイヤモンドなどに加工する場合は、供養品を買うよりも費用がかさみます。人工ダイヤモンドへの加工は数十万円ほどが目安で、石の大きさや色によって金額はさらに変わります。粉骨や分骨の手数料が別にかかる業者もあるため、内訳まで先に確かめておきましょう。

加工には数か月の期間がかかることもあり、費用と時間の両方を見込んでおく必要があります。見積もりを取るときは、加工費だけでなく粉骨や送料まで含めた総額を確かめてください。加工を伴う手元供養を望むなら、複数の業者から見積もりを取り、金額と仕上がりを見比べてみてください。

手元供養のメリット

手元供養には、他の供養にはない利点があります。メリットを知っておくと、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。ここでは、手元供養のメリットについて解説します。

故人を身近に感じられる

手元供養の一番の利点は、故人を毎日の暮らしのそばで感じられることです。自宅に骨壷を置いたり、遺骨のペンダントを身につけたりすれば、思い立ったときにすぐ手を合わせられます。遠方のお墓まで足を運ばなくても、朝晩に声をかける供養ができます。

写真やお気に入りの品と一緒に飾れば、故人を思い出すよりどころになります。命日や誕生日などの節目にも、身近な場所で気持ちを向けられます。子どもや孫と一緒に、暮らしのなかで故人の話をする時間も生まれます。故人との距離を近く保ちたい方は、手元供養を候補に入れて考えてみてください。

費用を抑えられる

手元供養は、他の供養に比べて費用を抑えやすい方法です。ミニ骨壷やペンダントなら数千円から数万円で始められ、お墓を建てる費用と比べればごくわずかで済みます。墓地の年間管理費のような、毎年かかる出費もありません。位牌や仏壇を新しくそろえる費用もかからず、必要なのは供養品の代金だけです。

墓じまいのあと、大きな費用をかけずに供養を続けたい方に向いています。遺骨の大半を永代供養に預け、一部だけを手元に残せば、供養全体の費用も抑えられます。毎月の負担がないぶん、長く続けても家計を圧迫しません。出費を抑えて供養したいなら、手元供養を選択肢に加えてみてください。

場所を選ばない

手元供養は、供養する場所を選ばない点も特徴です。大きな仏壇や広い空間がなくても、手のひらに乗る骨壷やペンダントで供養できます。マンションやアパートの限られた住まいでも、棚の一角があれば無理なく続けられます。机の引き出しやクローゼットの棚にも納まり、来客の目に触れずに供養できます。

引っ越しが多い方でも、遺骨を持って新しい住まいへ移せます。実家を離れて暮らす方にも、遺骨をそばに置ける安心があります。転勤や住み替えのたびにお墓の心配をせずに済むのは、手元供養ならではの身軽さです。住まいの事情に供養を合わせたい方は、手元供養の形を検討してみてください。

手元供養の注意点

手元供養には利点が多い一方、進める前に考えておきたい点もあります。注意点を押さえておけば、後悔のない供養につながります。ここでは、手元供養の注意点について解説します。

残った遺骨の扱い

手元供養で遺骨の一部だけを残すなら、残りの遺骨をどうするかを先に決めておく必要があります。遺骨をすべて自宅に置き続けるのは、量や置き場所の面で難しいことが多くあります。手元に残すのはミニ骨壷に入るほどの少量にして、残りは別の方法で供養する形が一般的です。すべてを残すと、いずれ管理する人の負担になります。

永代供養なら管理を施設に任せられ、散骨なら遺骨を自然に還せます。行き先を決めないまま手元供養を始めると、残った遺骨をあとで持て余すことになります。手元に残す量と、残りの遺骨を納める先を、最初にセットで決めておきましょう。

自分の死後の管理

手元供養で気をつけたいのが、自分が亡くなったあとに遺骨や供養品を誰が引き継ぐかという点です。手元に置いた遺骨は、そのままにしておくと次の世代が管理を担うことになります。承継する人がいない場合は、自分の死後にどう供養するかを生前に決めておく必要があります。

自分の代で供養を区切りたいなら、生前のうちに納め先を契約しておけます。永代供養と組み合わせておけば、自分の死後の供養を施設に任せられます。遺言やエンディングノートに、遺骨をどこへ納めてほしいかを書き残す方法もあります。手元供養を始めるなら、その先の管理と供養先まで含めて考えておきましょう。

親族の理解

手元供養を進める前に、親族の理解を得ておくことも欠かせません。遺骨を分けることや、お墓を持たない供養の形に抵抗を感じる親族もいます。相談のないまま進めると、あとで親族のあいだにわだかまりが残ることがあります。

なぜ手元供養を選ぶのか、残りの遺骨をどこへ納めるのかを、家族に言葉で伝えておきます。遺骨を分けること自体に法律や宗教上の決まりはなく、その点も落ち着いて説明できます。宗教や地域のしきたりを重んじる親族には、丁寧に事情を伝える時間も要ります。手元供養は、親族の理解を得たうえで始めることを心がけてください。

手元供養と他の供養の組み合わせ

手元供養は、他の供養と組み合わせて行うこともできます。組み合わせを知っておくと、遺骨全体の供養を無理なく整えられます。ここでは、手元供養と他の供養の組み合わせについて解説します。

一部を手元・残りを永代供養

よく選ばれるのが、遺骨の一部を手元に残し、残りを永代供養に納める組み合わせです。手のひらの骨壷やペンダントで故人を身近に感じつつ、残りの遺骨は施設に供養と管理を任せられます。承継する人がいなくても、永代供養なら供養が途切れません。遺骨の大半を預け、ひとつまみだけを手元に残す残し方もできます。

永代供養は、寺院や霊園が遺族に代わって長く供養を続ける仕組みです。費用や種類は永代供養とはで詳しく確かめられます。身近さと将来の安心の両方を求めるなら、手元供養と永代供養の組み合わせを検討してみてください。

散骨との併用

手元供養は、散骨と組み合わせることもできます。遺骨の一部を手元に残し、残りを海や山にまく形です。すべてを散骨してしまうと手を合わせる対象がなくなりますが、少量を手元に残せば、故人をしのぶよりどころが残ります。海に還す海洋散骨のほか、山や樹木のもとにまく散骨を選ぶ方もいます。

海洋散骨では、専門の業者が船を出して遺骨を海にまきます。船上で花を手向ける見送りに立ち会える業者もあります。費用ややり方は散骨の費用で確かめられます。自然に還す供養と手元供養を組み合わせて、自分の気持ちに合う形を選んでみてください。

まとめ

手元供養とは、遺骨の一部または全部を自宅や身近な場所に置いて供養する方法で、故人を近くに感じられるのが特徴です。方法には、ミニ骨壷に納める、ペンダントにする、ダイヤモンドに加工する、自宅に安置するなどがあります。費用は供養品なら数千円から数万円、加工を伴うと数十万円ほどです。故人を身近に感じられ、費用を抑えられ、場所を選ばない一方、残った遺骨の扱いや自分の死後の管理、親族の理解には注意が必要です。永代供養や散骨と組み合わせることもできます。まずは手元に残したい遺骨の量と供養品を決め、残りの遺骨の供養先とあわせて、家族と相談しながら進めてみてください。

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