墓じまいをしたあと、遺骨をどこへ移すかを考えるとき、候補に挙がるのが永代供養です。寺院や霊園が代わりに管理・供養してくれるため、承継する人がいなくても安心できる供養の形です。墓じまい(改葬)は年々増えており、令和4年度は全国で151,076件と過去最多になりました(厚生労働省の衛生行政報告例)。ただ、いざ調べ始めると、費用がタイプによってばらばらで、いくら用意すればよいのか見えにくいと感じる方は多いでしょう。
永代供養の費用は、合祀か個別か、屋内か屋外かといった供養の形によって大きく変わります。永代供養料のほかに管理費や刻字料が加わることもあり、総額の見当がつきにくいものです。費用の相場と内訳を知っておくことが、予算に合った供養先を選ぶうえで欠かせません。
この記事では、永代供養の費用相場から、タイプ別の費用、含まれる費目、抑えるポイント、注意点までをまとめて解説します。予算に合う供養先を絞り込む手がかりとして読み進めてみてください。
永代供養の費用相場
永代供養を検討するうえで、まず全体の相場をつかんでおくと計画を立てやすくなります。総額の目安と、費用に幅が出る要因を知っておきましょう。ここでは、永代供養の費用相場について解説します。
総額の目安
永代供養の費用は、合祀タイプなら5万円から30万円ほど、個別に安置するタイプでは30万円から100万円ほどが目安です。供養の形によって幅が広く、同じ永代供養でも金額の開きは大きくなります。多くの場合、この金額に永代供養料や納骨料が含まれます。鎌倉新書の「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」では、墓じまい後の費用総額は31万円から70万円が最も多く31.3%を占め、約半数が70万円以下でした。
まずはこの目安を頭に入れ、自分が望む供養の形がどの費用帯に近いかを見当づけましょう。合祀に寄せれば数十万円で収まり、個別の区画や墓石を求めれば100万円前後まで上がります。細かな費目は後の章でくわしく見ていきます。予算の上限を先に決めておくと、候補を絞り込みやすくなります。まずは望む供養の形と出せる金額を紙に書き出してみてください。
費用に幅が出る要因
永代供養の費用に幅が出るのは、供養の形と安置期間、立地の3つが主な要因です。他の方と一緒に納める合祀は最も安く、個別に安置する期間が長いほど金額は上がります。都市部で交通の便がよい霊園ほど費用が高くなる傾向が見られます。同じ永代供養でも、選ぶ条件によって金額は数十万円単位で変わります。
安置期間は5年、13年、33年など施設ごとに区切りが決まっており、期間が長いほど永代供養料が積み上がります。立地では、駅から近い納骨堂と郊外の樹木葬とで、同じ個別安置でも価格帯がずれます。自分が重視する点を先に決めておくと、費用帯を絞り込めます。まずは形と期間と場所のどれを優先するかを書き出してみてください。
永代供養のタイプ別の費用
永代供養にはいくつかのタイプがあり、それぞれ費用が異なります。タイプ別の費用を知っておくと、予算に合う供養先を選びやすくなります。ここでは、永代供養のタイプ別の費用について解説します。
合祀墓
合祀墓は、他の方の遺骨と一緒に納める形で、費用は5万円から30万円ほどと最も抑えられます。一度納めれば年間管理料がかからない施設が多く、その後の負担も軽くなります。承継する人がいなくても、寺院や霊園が読経や清掃を続けてくれます。鎌倉新書の「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」でも、墓じまい後の移転先として合祀を含む永代供養が43.2%と最も多く選ばれています。
ただし合祀は、納めた遺骨を後から取り出せない形です。将来の分骨や別の場所への改葬を考えているなら向きません。費用の安さと引き換えに、選び直しがきかない点を家族で共有しておきましょう。分骨の予定がなく費用を最優先するなら、合祀は現実的な選択です。まずは親族に合祀でよいか確認を取ってみてください。
集合墓
集合墓は、遺骨を個別の骨壷や区画に納めつつ、供養は合同で行うタイプです。費用は20万円から60万円ほどが目安になります。一定期間は個別に安置され、その期間を過ぎると合祀へ移る仕組みが多く見られます。合祀より費用はかかりますが、しばらくは遺骨を個別に保てるのが利点です。
安置期間は13年や33年など施設によって幅があり、期間の長さで総額が変わります。個別安置と費用のバランスを取りたい方に向いています。契約前に、何年で合祀へ移るのかを必ず確かめておきましょう。個別に置く年数と払える金額を照らし合わせて選ぶと、無理のないプランに落ち着きます。気になる施設には安置期間を問い合わせてみてください。
個別墓
個別墓は、専用の区画や墓石を設けて個別に供養するタイプで、費用は50万円から100万円以上になります。一般的なお墓に近い形で、家族だけでお参りできる点が特徴です。承継を前提としない永代供養でありながら、個別の供養を望む方に向いています。永代供養のなかでは費用が高い部類に入ります。
区画の広さや墓石の有無で金額が変わり、年間管理費が別にかかる施設もあります。管理費は数千円から数万円が目安で、契約が続く間は払い続けます。個別の供養にこだわりたいなら、初期費用だけでなく管理費まで含めた総額で判断しましょう。墓石を建てるか、プレート式にするかでも費用は動きます。見積もりで管理費の有無と金額を確かめてみてください。
樹木葬タイプ
樹木葬タイプの永代供養は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする形で、費用は20万円から80万円ほどです。個別に区画を持つタイプと、他の方と同じ場所に埋葬するタイプがあります。自然に還るイメージから、この形を選ぶ方が増えています。明るく開けた雰囲気の霊園が多いのも特徴です。
個別区画の樹木葬は費用が上がり、合同埋葬に近いほど抑えられます。里山型と公園型では立地や雰囲気が大きく違い、価格帯もずれます。写真だけで決めず、日当たりや通いやすさを現地で確かめるとよいでしょう。区画の管理を誰が担うのかも、契約前に聞いておくと安心です。気になる霊園はまず見学を申し込んでみてください。
納骨堂タイプ
納骨堂タイプは、屋内に遺骨を安置する形で、費用は30万円から100万円ほどが目安です。ロッカー式や仏壇式、自動搬送式などがあり、都市部に多く交通の便がよい点が利点です。天候を気にせずお参りできるため、高齢の方や遠方に住む方にも通いやすいでしょう。屋内なので草むしりや掃除の手間もかかりません。
自動搬送式は設備が新しく費用が上がりやすく、ロッカー式は比較的抑えられます。多くの施設では、一定期間を過ぎると合祀へ移る仕組みになっています。お参りのしやすさを重視するなら、自宅から通いやすい場所の納骨堂を選びましょう。安置期間と、その後の合祀の扱いも契約前に確かめておくと安心できます。まずは通える範囲の納骨堂を見学してみてください。
永代供養の費用に含まれるもの
永代供養の費用は、ひとつの料金ではなく複数の費目でできています。何が含まれるかを知っておくと、見積もりを正しく読めます。ここでは、永代供養の費用に含まれるものについて解説します。
永代供養料
永代供養料は、寺院や霊園が遺骨を管理・供養してくれることへの費用です。永代供養の中心となる費目で、供養の形やタイプによって金額が変わります。一度納めれば、以後の供養を施設に任せられます。総額に占める割合が最も大きい費目です。
この料金に何年分の供養が含まれるかは、施設によって差があります。33年で区切る所もあれば、期限を設けず合祀で供養を続ける所もあります。契約前に、供養の期間と、期間を過ぎた後の扱いを確かめておきましょう。同じ永代供養料でも、含まれる年数が違えば単純な金額比較はできません。見積もりで供養年数まで聞いて比べてみてください。
納骨料
納骨料は、遺骨を実際に納める際にかかる費用です。納骨の作業や、その場での読経に対して支払います。永代供養料に含まれる場合と、別立てで請求される場合があります。金額の目安は数万円程度でしょう。
複数の遺骨をまとめて納めるときは、その数だけ費用が増える点に注意が必要です。古い墓から取り出した遺骨が複数あると、総額が思ったより上がります。見積もりを見るときは、納骨料が別途かかるか、遺骨の数で変わるかを確かめましょう。石材店に依頼する取り出し作業の費用とは別立てになる点にも気をつけたいところです。納骨料の扱いを事前に問い合わせてみてください。
刻字料
刻字料は、故人の名前や戒名を墓誌や銘板に刻む費用です。個別墓や集合墓で、名前を残したい場合にかかります。一人あたりの料金で決められていることが多く、人数分の費用が必要になります。金額は一人あたり数万円が目安です。
合祀タイプでは、そもそも刻字を行わない施設もあります。先祖代々の複数の名前を刻むと、その分だけ費用が積み上がります。名前を残したいかどうかで必要性が変わるため、家族の希望を先にまとめておきましょう。刻む文字数や書体で料金が変わる施設もあります。刻字が必要か、料金はいくらかを申し込み前に確かめてみてください。
管理費
管理費は、施設の維持や共用部分の掃除にかかる費用です。合祀タイプはかからないことが多い一方、個別安置のタイプでは年間管理費が必要になります。金額は年額数千円から数万円が目安です。初期費用とは別に、毎年払い続ける費用です。
管理費は契約が続く限りかかるため、20年、30年と積み重なると総額に響きます。支払いが滞ると、個別区画から合祀へ移されることもあります。契約前に、管理費の有無と金額、いつまで払うのかを必ず確かめておきましょう。将来まとめて前納できる施設もあり、条件によっては負担を軽くできます。管理費の総額まで見積もりに入れて判断してみてください。
永代供養の費用を抑えるポイント
永代供養の費用は、選び方しだいで抑えられます。ポイントを押さえておけば、予算に合わせた供養先を見つけやすくなります。ここでは、永代供養の費用を抑えるポイントについて解説します。
合祀を選ぶ
費用を最も抑えられるのは、合祀タイプを選ぶことです。他の方の遺骨と一緒に納める形で、5万円から30万円ほどで供養できます。年間管理料がかからない施設が多く、その後の負担も軽くなります。永代供養のなかで最も費用が低い選び方です。
実際、墓じまい後の移転先でも合祀を含む永代供養が最も多く選ばれています。費用の負担を抑えたい家庭にとって、現実的な受け皿になっています。ただし合祀後は遺骨を取り出せないため、家族の同意を得たうえで決めましょう。分骨や改葬の予定がないと確認できてから申し込むと、後悔を避けられます。まず親族に合祀の希望を伝えて相談してみてください。
個別安置の期間を短くする
個別に安置する期間が長いほど費用は高くなるため、期間を短く選ぶと総額を抑えられます。一定期間の個別安置のあと合祀へ移るタイプなら、安置期間の長さで金額が変わります。5年と33年とでは、同じ施設でも永代供養料に差が出ます。長く個別に置く必要がなければ、短い期間で負担を減らせます。
家族がしばらく個別にお参りしたい期間だけを見積もると、無駄な年数を払わずに済みます。子や孫の代までを見据えるなら長め、自分たちの区切りだけなら短めが目安です。安置期間と費用の関係を確かめ、必要な年数を見極めて選びましょう。施設ごとに区切りの年数が違うので、複数を比べると差が見えます。まず何年の個別安置が必要かを家族で決めてみてください。
複数の霊園を比べる
永代供養の費用は施設によって差が大きいため、複数の霊園や寺院を比べることが欠かせません。同じタイプでも、立地や設備によって金額が変わります。1か所だけで決めると、相場より高い施設を選んでしまうこともあります。3か所ほど資料を集めると、費用の目安がつかめます。
資料を取り寄せたり見学したりして、費用と条件を並べて見比べましょう。永代供養料に何が含まれるか、管理費や納骨料が別立てかまで表にすると差がはっきりします。墓じまい全体の費用は墓じまいの費用もあわせて確かめると、総額の見通しが立ちます。同じ条件でそろえて比べれば、納得できる供養先が見つかります。まず候補を3か所選んで資料を請求してみてください。
永代供養の費用で注意すること
永代供養は費用を抑えやすい一方で、契約前に確かめておきたい点もあります。注意点を知っておけば、後悔のない選択ができます。ここでは、永代供養の費用で注意することについて解説します。
管理費の有無
永代供養は管理費がかからないイメージがありますが、タイプによっては年間管理費が必要です。個別安置のタイプでは、初期費用とは別に毎年費用がかかります。管理費を見落とすと、想定より総額がふくらみます。年額の目安は数千円から数万円です。
管理費は契約が続く限り毎年かかります。10年、20年と積み重なると、初期費用に匹敵する額になることもあります。契約前に「いつまで・いくら」払うのかを必ず確かめてください。
支払いが滞ると個別区画から合祀へ移される場合もあり、扱いは施設ごとに違います。前納でまとめて払える施設なら、総額を先に確定できます。継続してかかる費用まで含めて、総額で判断しましょう。管理費の条件を見積もりで確かめてみてください。
合祀後は遺骨を戻せない
合祀タイプを選ぶ際に忘れてはいけないのが、合祀後は遺骨を取り出せない点です。他の方の遺骨と同じ場所に納まるため、あとから分骨や改葬をしたくてもできません。費用の安さは、この後戻りできない仕組みと引き換えになっています。一度合祀すると、個別のお墓へ戻す道はふさがります。
将来、故郷へ墓を戻したり、子が個別に供養したくなったりする可能性も考えておきましょう。少しでも迷いが残るなら、個別安置の期間があるタイプを選ぶほうが安心です。費用の安さだけで決めず、取り消せない選択だと踏まえて判断しましょう。家族全員が納得しているかを、申し込み前にもう一度確かめてください。
追加費用の確認
永代供養では、初期費用のほかに納骨料や刻字料が別立てになっていることがあります。基本料金だけを見て契約すると、あとから費用が加わることがあります。見積もりを受け取ったら、何が含まれ何が別途かかるのかを確かめましょう。表示された金額が総額なのか、基本料金だけなのかを見分けます。
墓じまい側では、離檀料や石材店への撤去費が別にかかる点にも気をつけたいところです。永代供養の位置づけは永代供養とは何かもあわせて参考になります。基本料金と追加費用を足した総額で、複数の施設を比べましょう。想定外の請求を避けるため、含まれる費目を一つずつ確かめてみてください。
まとめ
永代供養の費用は、合祀タイプなら5万円から30万円ほど、個別安置のタイプでは30万円から100万円ほどが目安です。タイプ別では、合祀墓が最も安く、集合墓、樹木葬タイプ、納骨堂タイプ、個別墓の順に費用が上がる傾向があります。費用には永代供養料や納骨料、刻字料、管理費が含まれ、施設によって別立ての費目もあります。費用を抑えるには、合祀を選び、個別安置の期間を短くし、複数の霊園を比べることが有効です。ただし、管理費の有無や合祀後は遺骨を戻せない点、追加費用には注意が必要です。まずは希望する供養のかたちと予算を決め、複数の霊園や寺院で費用と内訳を比べてみてください。


コメント