墓じまいは自分でできる?自力で進める範囲と業者に頼むべき作業

手続き・流れ

墓じまいの費用を調べるうち、自分でやれば安く済むのではと考える方は多いものです。とはいえ、どこまで自力でできて、どこからが専門の作業なのか、線引きがわからず迷いがちです。範囲を見誤ると、途中で行き詰まったり、思わぬトラブルを招いたりします。

墓じまいは、手続きや相談は自分で進められる一方、墓石の撤去は専門の作業になります。できる範囲と頼む範囲を押さえておけば、無理なく費用を抑えられます。逆に、すべてを自力でやろうとすると、かえって手間やリスクが増えてしまいます。

この記事では、自分でできる範囲から、自分でやる手順、メリット、注意点、業者に頼むかの判断までをまとめて解説します。費用を抑えつつ無理なく進めるための手がかりとして読み進めてみてください。

墓じまいは自分でできるのか

まず、墓じまいがどこまで自分でできるのかを整理しておきましょう。範囲がわかると、頼むべき作業も見えてきます。ここでは、墓じまいは自分でできるのかについて解説します。

自分でできる範囲

墓じまいのうち、親族との合意形成、供養先を決めて受入証明をもらうこと、いまの墓地管理者から埋葬証明をもらうこと、役所への改葬許可の申請までは自分で進められます。改葬許可は墓地埋葬法第5条にもとづく手続きで、申請先はいま遺骨がある市区町村です。申請書に必要事項を書き、受入証明と埋葬証明を添えて出せば、個人でも許可証を受け取れます。閉眼供養の手配も自分でできます。全体の流れは墓じまいの流れで先に確かめておくと動きやすくなります。

どの工程にも特別な資格は要りません。役所と寺と供養先へ順に連絡し、書類を集めて回るだけです。ただし平日の窓口対応や書類の郵送など、こまめな手間はかかります。まずは自分で進められる範囲を書き出し、動ける順に手をつけてみてください。

業者に頼む範囲

一方、墓石の解体と撤去、そして墓地を更地に戻す整地は、石材店に頼む範囲です。重い墓石を安全に外し、出た石やコンクリートを産業廃棄物として正しく処分するには、重機と専門の技術が要ります。個人での作業は事故や不法投棄につながるため現実的ではありません。霊園に墓地指定の石材店がある場合は、依頼先がその業者に限られます。

依頼先を選べるなら、複数の石材店から見積もりを取って比べます。工事の範囲と単価、廃棄処分の費用まで書面で確かめておくと安心です。業者選びの進め方は墓じまいの業者の選び方も参考になります。撤去工事だけは無理をせず、必ず石材店へ任せてください。

自分でやる場合の手順

範囲がわかったら、自分でやる場合の手順を押さえておきましょう。順序を知っておくと、迷わず進められます。ここでは、自分でやる場合の手順について解説します。

親族・寺院との調整

自分で進める最初の工程は、親族との合意形成です。墓じまいはお墓を継ぐ人みんなに関わるため、あとから反対が出ないよう先に話を通しておきます。改葬件数は令和4年度に全国で151,076件にのぼり、過去最多を記録しました(厚生労働省「衛生行政報告例」)。墓じまいはもう珍しい選択ではありません。

寺院墓地の場合は、離檀の相談もあわせて丁寧に進めます。長く供養してもらった感謝を伝え、閉眼供養の日取りも早めに相談します。ここは業者に代われない、自分で担う工程です。時間に余裕を持って、関係する方へ早めに声をかけてみてください。

役所での手続き

合意が済んだら、役所での改葬許可の申請を自分で進めます。申請先は、いま遺骨がある市区町村の役所です。窓口で改葬許可申請書をもらい、新しい供養先からの受入証明と、いまの墓地管理者からの埋葬証明を添えて出します。これは墓地埋葬法第5条にもとづく手続きで、許可証がないと遺骨を移せません。

自治体ごとに様式や添付書類が少しずつ違います。遺骨1体ごとに申請が要る場合もあるため、事前に必要な数を確認しておきます。書類がそろえば、その場か後日に改葬許可証を受け取れます。まず現在の墓地がある役所へ、様式と必要書類を問い合わせてみてください。

遺骨の取り出しと移転

改葬許可証を受け取ったら、閉眼供養を経て遺骨を取り出します。閉眼供養は、お墓から魂を抜くための法要で、僧侶に読経してもらいます。遺骨の取り出しは石材店の工事とあわせて行うのが一般的です。古い墓では骨壷が土や水を含んで重くなっていることもあり、無理に自分で運び出すのは避けます。

取り出した遺骨は、改葬許可証を新しい供養先に提示して納めます。改葬許可証は、遺骨を動かすすべての場面で必要になる大切な書類です。納骨の日取りは、受入先と僧侶の予定を合わせて決めます。石材店に任せる作業と自分で運ぶ範囲を分けて、無理のない段取りで進めてください。

自分でやるメリット

手順がわかったら、自分でやるメリットも押さえておきましょう。利点を知ると、どこを自力で担うか判断しやすくなります。ここでは、自分でやるメリットについて解説します。

費用を抑えられる

自分でやる一番のメリットは、代行手数料や仲介のマージンを抑えられることです。手続きの代行を業者に頼むと、書類集めや役所とのやり取りの分だけ費用が上乗せされます。親族との相談や役所の申請、供養先探しを自力でこなせば、その代行費用を丸ごと節約できます。

工事は石材店に頼むとしても、事務の工程を自分で担うだけで総額は変わります。とくに書類集めや役所とのやり取りは、代行に出すと手数料がふくらみやすい部分です。浮いた分を、新しい供養先の費用や閉眼供養のお布施に回せます。費用を抑えたい方は、まず自分でできる工程を見極めて、そこから手をつけてみてください。

段取りを把握できる

自分で進めると、墓じまいの段取りを自分の目で確かめられます。どの工程がいまどこまで進んだかを、書類や連絡の記録で管理できます。全体を分かっていれば、石材店に頼む部分の依頼も具体的に伝えられます。見積もりの内容が適正かどうかも、自分で判断しやすくなります。

人任せにしないことで、費用の使いみちにも納得がいきます。どの工程にいくらかかったかを自分で把握できるため、あとで家族に説明するときも困りません。先祖の供養に区切りをつける実感も、自分で動くほど深まるでしょう。段取りを自分で握るために、進められる工程は自力で担ってみましょう。

自分でやるときの注意点

メリットがわかったら、注意点も押さえておきましょう。落とし穴を知っておくと、無理な自力対応を避けられます。ここでは、自分でやるときの注意点について解説します。

墓石の撤去は専門作業

自分でやるうえで最も気をつけたいのは、墓石の撤去を自力でやらないことです。墓石は重く、人の力だけで安全に外すのは難しい作業です。無理に動かすと事故やけがにつながります。撤去で出る石やコンクリートは産業廃棄物にあたり、正しく処分するには許可を持つ業者が要ります。

注意

墓石の解体や整地は、費用を惜しんで自力でやろうとしないでください。重機と技術が必要で、個人での作業は思わぬ事故や不法投棄を招きます。

ここは石材店に任せる前提で考えます。工事の範囲と費用を先に見積もりで確かめ、更地にして返すところまで頼んでおくと安心です。撤去工事だけは無理をせず、必ず石材店へ依頼してください。

手続きの手間と時間

自分でやる場合は、書類集めと各所への連絡に手間と時間がかかります。役所と寺院、石材店、供養先への連絡を、すべて自分で回すことになります。平日に窓口へ出向く時間や、埋葬証明と受入証明をそろえる手間も見込んでおきます。手続き自体は難しくありませんが、こまめな動きが続きます。

とくに遠方のお墓では、現地へ足を運ぶ回数が増えます。役所も墓地もお墓のある土地にあるため、書類の受け取りや工事の立ち会いのたびに、交通費と日数がかさみやすくなります。仕事や生活と両立できるかを先に考え、無理なく続けられる範囲かどうかを見極めましょう。

自分でやるか業者に頼むかの判断

注意点を踏まえたうえで、最終的にどう判断するかを整理しておきましょう。基準があると、迷わず決められます。ここでは、自分でやるか業者に頼むかの判断について解説します。

判断の目安

自分でやるか業者に頼むかは、使える時間と動ける距離が目安になります。平日に役所や寺へ動ける時間があり、遠方でなければ、自力でも十分に進められます。手続きの手間を負担に感じず、こまめな連絡を続けられる方に向いています。費用を抑えたい思いが強いほど、自力で担う価値が出ます。

反対に、まとまった時間が取れない、お墓が遠くて何度も通えないなら、代行や業者に頼むほうが確実です。書類の不備で申請をやり直すと、かえって日数がかかることもあります。費用と手間のどちらを優先するかで、線引きが決まります。自分の状況に照らして、無理のない選び方を考えてみてください。

部分的に頼む選択

すべてを自分でやるか丸ごと任せるかの二択ではなく、工程ごとに分ける選び方もあります。相談と役所の手続きは自分で進め、墓石の撤去だけを石材店に頼む形が基本です。書類集めが負担なら手続きの代行だけを頼み、工事は別の石材店に任せることもできます。

自分でできる事務と、任せるべき工事を組み合わせれば、費用と手間の両方を抑えられます。業者選びの考え方は墓じまいの業者の選び方も参考になります。自力で担う工程と頼む工程を先に分けて、無理のない形を選びましょう。

まとめ

墓じまいは、親族や寺院との相談、役所での手続き、受入先探しは自分で進められますが、墓石の撤去や解体は専門業者に頼む範囲です。自分でやるメリットは、費用を抑えられることと段取りを自分で把握できることにあります。一方で、墓石の撤去を自力で行うのは危険で、手続きの手間と時間もかかります。判断は、使える時間と手間をかけられるかを目安にし、工事だけ頼むなど部分的に任せる選択もできます。まずは自分でできる工程を見極め、無理のない範囲から進めてみてください。

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