墓じまいの流れを5ステップで解説|手続き・書類・期間の目安

手続き・流れ

遠方にある実家のお墓を、この先も守り続けられるだろうか。そう考えて墓じまいを思い立っても、何から手をつければいいのかわからず、立ち止まってしまう方は多いものです。お寺への相談や役所の手続き、新しい供養先選びと、やるべきことが次々に浮かんできます。

とはいえ、墓じまいは決まった順序で一つずつ進めていけば、決してむずかしいものではありません。全体の流れさえつかめれば、「次に何をすればいいか」が見えて動き出せるようになります。

この記事では、墓じまいの全体の流れと期間の目安から、始める前の準備、必要な手続きと書類、遺骨の取り出し、新しい供養先への納骨までを順番に解説します。最初の一歩を踏み出す手がかりとして読み進めてみてください。

墓じまいの全体の流れ

厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和4年度の改葬件数は全国で151,076件にのぼり、過去最多を記録しました。墓じまいは、準備から納骨まで複数の段階を踏んで進みます。最初に全体像をつかんでおくと、各ステップで何をすればよいかが見えてきます。ここでは、完了までの大まかなステップと、全体にかかる期間の目安について解説します。

完了までの大まかなステップ

墓じまいは、大きく7つの段階で進みます。最初に家族と親族で話し合って合意をつくり、いまお墓がある墓地の管理者やお寺へ意向を伝えます。次に新しい供養先を決めて受入証明書をもらい、遺骨がある市町村へ改葬許可を申請します。許可が下りたら閉眼供養で魂を抜き、石材店が墓石を撤去して区画を更地に戻します。最後に新しい供養先へ遺骨を納めて、一連の流れが終わります。

この7つの段階は順番に意味があり、飛ばすと後の手続きが止まります。たとえば受入証明書が手元にないと、改葬許可の申請そのものに進めません。まずは全体の並びを紙に書き出し、いま自分がどこにいるかを確かめてから動き出しましょう。

全体にかかる期間の目安

墓じまいは、思い立ってから納骨まで1か月から3か月ほどが目安です。時間がかかる主な理由は、親族との話し合いと、お寺や役所とのやり取りにあります。とくに親族が遠方に分かれていると、日程を合わせるだけで数週間が過ぎることも珍しくありません。お盆やお彼岸などお寺が忙しい時期は、閉眼供養の予約がさらに先へ延びます。

急ぎたい事情があるときも、書類の取り寄せと供養の日程調整だけで最低1か月はかかると見ておきます。改葬許可の申請には受入証明書と埋葬証明書が要り、そろえる順番も決まっています。期日が決まっている方は、逆算して2か月前には親族への相談を始めておきましょう。

墓じまいを始める前の準備

実際の手続きに入る前に、整えておきたい準備がいくつかあります。ここを丁寧に進めておくと、あとのトラブルを防ぎやすくなります。ここでは、墓じまいを始める前に済ませておきたい3つの準備について解説します。

親族の同意を得る

墓じまいで最初にすべきなのが、親族への相談と同意です。お墓は家族みんなにとって大切な場所なので、相談なく進めると「勝手に決めた」と受け取られ、感情的な対立を招きます。墓じまいを考えた理由と、遠方で管理が難しい事情を、順を追って丁寧に伝えましょう。

とくにお墓に入っている方の子や孫にあたる親族には、早い段階で声をかけておく必要があります。後から知った人ほど反発が強く、話が振り出しに戻ることも珍しくありません。同意を得た日付や話した内容をメモに残しておくと、後の行き違いを防げます。まずは親族の一覧を書き出し、誰にいつ伝えるかを決めてください。

改葬先を決める

遺骨をどこへ移すかも、早い段階で決めておきます。移し先には永代供養墓や納骨堂、樹木葬、散骨などがあり、お参りのしやすさと管理の手間、そして総額が大きく変わります。永代供養墓なら数十万円で収まる一方、個別の区画を選ぶと100万円を超えることもあります。

費用の幅は墓じまいの費用で詳しく扱っているので、予算と照らし合わせて候補を絞ってください。改葬先が決まらないと、次の受入証明書がもらえず、役所への申請にも進めません。家族の希望を聞き取り、通いやすさと予算の両方から2つか3つに絞り込みましょう。

現在の墓地・寺院に相談する

改葬先のめどが立ったら、いまお墓がある墓地の管理者や菩提寺へ意向を伝えます。お寺の檀家になっている場合は、この最初の伝え方が後の進めやすさを大きく左右します。これまで供養を任せてきた感謝を示しながら、墓じまいを決めた事情を誠実に話しましょう。

何の前置きもなく「やめます」とだけ伝えると、離檀料をめぐって話がこじれる原因になります。閉眼供養の日取りや、区画を返すまでの段取りも、この場で一緒に相談しておくと二度手間が減ります。訪問の前に、伝えたい理由と希望する時期を紙に整理してから足を運んでください。

墓じまいに必要な手続きと書類

墓じまいでは、遺骨を移すために役所の許可が必要です。書類が一つでも欠けると手続きが止まるため、順番にそろえていきます。ここでは、改葬許可を受けるために必要な4つの手続きと書類について解説します。

受入証明書を取得する

最初にそろえるのが、新しい供養先が出す受入証明書です。これは「この施設が遺骨を確かに受け入れます」と示す書類で、改葬許可の申請に欠かせません。永代供養墓や納骨堂と契約すると発行してもらえます。

施設によって名称や様式が違うため、契約のときに「改葬に使う証明書を出してもらえますか」と確かめておきます。郵送で送ってくれる施設もあれば、窓口での受け取りに限る施設もあります。この一枚がないと、次の役所への申請そのものが始められません。改葬先を決めたその日に、発行の可否と受け取り方法まで聞いておきましょう。

埋葬証明書を用意する

次に必要なのが、いまお墓がある墓地の管理者が出す埋葬証明書です。これは「この墓地に遺骨が確かに納められている」ことを示す書類になります。お寺や霊園の管理事務所に頼むと、多くは即日から数日で発行してもらえます。

自治体によっては、改葬許可申請書の所定欄に管理者の署名と押印をもらう形で代えることもあります。どちらの形式で足りるかは、申請先の役所によって分かれます。墓じまいの相談をするときに、埋葬証明の発行もあわせて頼んでおくと、お寺へ二度足を運ばずに済みます。申請先の役所に、必要な様式を先に確かめておきましょう。

改葬許可申請書を提出する

受入証明書と埋葬証明書がそろったら、いまお墓がある市区町村の役所で改葬許可申請書を受け取ります。用紙は窓口やホームページで手に入り、遺骨1体につき1枚必要になるのがほとんどです。故人の氏名や埋葬日など、記入する項目は墓地の記録と照らし合わせて正確に書きます。

記入に不備があると、その場で受理されずやり直しになります。先にそろえた2枚の証明書を添えて、窓口へまとめて提出します。郵送で受け付ける自治体もあるため、遠方に住む方は事前に電話で確かめておきましょう。遺骨の数だけ用紙が要るので、申請の前に必要枚数を数えておいてください。

改葬許可証を受け取る

申請が受理されると、役所から改葬許可証が交付されます。この改葬許可証は、遺骨を別の場所へ移すための唯一の正式な許可です。もとになるのは墓地埋葬法という法律で、許可を出すのは遺骨がいまある土地の市町村長と決まっています。

許可証は、いまの墓地で遺骨を取り出すときと、新しい供養先へ納めるときの両方で提示を求められます。なくすと再発行に手間がかかるため、コピーを取ったうえで原本を大切にしまっておきます。これで役所の手続きは終わり、いよいよ遺骨の取り出しと墓石の撤去へ進めます。受け取ったその場で、記載の氏名や本籍に誤りがないか確かめておきましょう。

遺骨の取り出しと墓石の撤去

書類がそろったら、実際にお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去する段階に入ります。供養と工事が伴うため、お寺と石材店との日程調整が必要です。ここでは、遺骨の取り出しと墓石撤去の3つの手順について解説します。

閉眼供養を行う

遺骨を取り出す前に、閉眼供養という法要を行うのが通例です。魂抜きとも呼ばれ、お墓に宿った魂を抜いて、ただの石に戻すための儀式になります。菩提寺や霊園の僧侶に頼み、墓前で読経してもらいます。

当日はお布施を包み、僧侶への御車代もあわせて用意しておきます。親族にも声をかけ、最後のお参りの機会として立ち会ってもらうと、後の納得につながります。閉眼供養の日取りは、石材店の撤去工事と同じ日か前後に合わせておくと、当日の段取りがすっきりします。読経の時間とお布施の目安を、依頼のときにお寺へ確かめておきましょう。

遺骨を取り出す

閉眼供養が済んだら、お墓のカロートと呼ばれる納骨室から遺骨を取り出します。古いお墓では、遺骨が骨壷から出て土に還っていたり、複数の遺骨が重なって納められていたりします。取り出した遺骨は、改葬先の受け入れ方に合わせて、骨壷のままか専用の袋に移して整えます。

土に還っている場合や汚れがある場合は、洗骨や乾燥を専門の業者に頼むこともできます。作業の当日は改葬許可証の提示を求められるため、原本を忘れずに持参します。遺骨の数や状態は事前に読めないので、想定より多いときの入れ物も一つ多めに用意しておきましょう。

墓石を解体し更地に戻す

遺骨を取り出したら、石材店が墓石を解体して撤去し、区画を更地に戻します。工事では、地上の墓石だけでなく地中の基礎まで掘り起こし、土をならすのが基本になります。区画の広さや立地によって手間が変わるため、見積もりの段階で作業の範囲を確かめておきます。

撤去が終わったら、更地にした区画を墓地の管理者へ返し、使用権を返します。後から「元に戻っていない」ともめないよう、更地の状態を写真に撮ってから引き渡します。重機が入れない墓地では手作業になり、費用と日数が増えることもあります。工事の前に、更地の範囲と返還の日をお寺や霊園と決めておきましょう。

新しい供養先への納骨

墓石の撤去が終わったら、取り出した遺骨を新しい供養先へ納めます。これで墓じまいの最後の段階です。ここでは、改葬先への納骨と開眼供養の2つの手順について解説します。

改葬先へ遺骨を納める

墓石の撤去が終わったら、取り出した遺骨を新しい供養先へ移して納めます。納骨の際は、役所で交付された改葬許可証を施設へ渡すのが決まりになっています。契約の内容によっては、納骨と同じ日に法要を組めることもあります。永代供養墓や納骨堂では、施設の担当者が納骨を進めてくれるのがほとんどです。

納骨の日取りは、施設の受け入れ状況と親族の都合を合わせて決めます。遠くの供養先へ移すときは、遺骨の運び方も前もって施設に相談しておくと安心できます。宅配便で送れるかどうかは施設ごとに違うので、当日あわてないよう早めに確かめておきましょう。

開眼供養を行う

新しい供養先へ納めた後に、開眼供養という法要を行うことがあります。魂入れとも呼ばれ、新しい供養先へ魂を迎え入れるための儀式になります。永代供養墓や合祀のタイプでは省くこともあり、施設や宗派によって扱いが分かれます。

開眼供養をするかどうか、お布施をいくら包むかは、納骨先やお寺によって変わります。迷うときは、納骨の契約前に施設へ直接たずねておくと、当日の準備で困りません。ここまで済ませれば、墓じまいの一連の流れは終わります。遠くのお墓の管理から離れ、無理なく手を合わせられる供養先が整うので、まずは開眼供養の要否を施設に確かめておきましょう。

墓じまいの流れでつまずきやすいポイント

墓じまいは順序立てて進めても、途中でつまずくことがあります。よくある引っかかりを知っておけば、慌てずに対処できます。ここでは、墓じまいの流れでつまずきやすい3つのポイントについて解説します。

親族の同意が得られない

墓じまいで最も多いつまずきが、親族の反対です。お墓を残したい気持ちを持つ人が一人でもいると、話が前へ進まなくなります。こうしたときは結論を急がず、墓じまいを考えた理由と、管理の現実的な負担を丁寧に共有します。

お墓参りが難しくなっている事情や、将来の墓守がいない状況を具体的な数字で伝えると、相手も納得しやすくなります。一度で決めようとせず、何度か話す場を持つつもりで進めるのが、円満な合意への近道になります。感情がぶつかりそうなときは、費用や手間を書いた紙を用意し、口頭でなく資料をもとに話し合ってみてください。

寺院から離檀を渋られる

お寺の檀家をやめるとき、住職から引き止められたり、高額な離檀料を求められたりすることがあります。離檀料は法律で決まった義務ではありませんが、感情的に対立すると話がこじれます。これまでの感謝を示しながら、墓じまいを決めた事情を誠実に伝えることが先決です。

注意

相場を大きく超える金額を示されても、その場で承諾しないでください。地域の相場を調べ、冷静に交渉し直す余地があります。

それでも折り合いがつかないときは、行政書士など第三者の専門家に間へ入ってもらう方法もあります。やり取りの経緯を記録に残しておくと、後で相談するときに話が早く進みます。まずはお寺への感謝を言葉にしたうえで、離檀を決めた理由を落ち着いて伝えてみてください。

書類の不備で手続きが滞る

改葬の手続きは書類が多く、一つでも不備があると役所で受理されず、やり直しになります。よくあるのは、故人の氏名や埋葬日が墓地の記録と合っていない、受入証明書を付け忘れた、という取りこぼしです。申請の前に、必要な書類がすべてそろっているか、記入した内容が正しいかを一つずつ確かめます。

わからない点は、提出先の役所の窓口へ電話で聞いておくと、二度手間を防げます。遺骨1体につき申請書が1枚要るケースもあるため、枚数の数え間違いにも気をつけます。提出の直前に、書類の一覧を作って一枚ずつチェックを入れてから窓口へ向かってください。

まとめ

墓じまいは、親族の同意と改葬先の決定という準備から始まり、役所での改葬許可の手続き、閉眼供養と遺骨の取り出し、墓石の撤去、新しい供養先への納骨という順序で進みます。全体にかかる期間は1か月から3か月ほどが目安で、親族やお寺との調整に時間がかかることを見込んで早めに動くと安心です。途中でつまずきやすいのは、親族の反対、寺院との離檀をめぐる行き違い、書類の不備の3点なので、丁寧な相談と確認で防いでいきましょう。まずは親族への相談と改葬先の検討から、最初の一歩を踏み出してみてください。

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