法事に招かれたとき、案内状の言葉が「法要」だったり「法事」だったりして戸惑う方は多いでしょう。同じ日の出来事を指しているようで、どこかが違うようにも見えます。
法要とは、僧侶に読経を頼んで故人の冥福を祈る儀式そのものを指します。法事は、その法要に会食や親族の集まりまで加えた全体を指す広い呼び方です。
使い分けの境目から、忌日法要と年忌法要の種類、当日の流れ、香典の表書きと服装まで、施主と参列者の双方の立場でまとめました。宗派で変わる点は都度ふれるので、自分の家の宗派に置き換えながら読み進めてください。
法要と法事の違い
案内状や親族の会話では、法要と法事がほとんど同じ意味で飛び交います。ここでは、それぞれの言葉が指す範囲と、使い分けの境目を説明します。
法要は僧侶の読経による供養の儀式
法要とは、僧侶を招いて読経してもらい、故人の冥福を祈る儀式そのものを指します。参列者が焼香し、僧侶が法話を述べて締めくくるまでが法要の範囲です。読経と焼香という宗教の行いが中心にあり、会食や親族の集まりは含みません。日程を決めて寺へ依頼するのも、この儀式を営むためです。
この言葉は、初七日や四十九日、一周忌といった個々の供養の名前とも結びついています。「四十九日法要」「一周忌法要」と呼ぶとき、指しているのは読経が営まれる場そのものでしょう。所要時間は読経と焼香でおよそ40分から1時間ほど。僧侶に依頼するときは「法要をお願いします」と伝え、儀式の部分だけを話しているつもりで臨んでください。
法事は法要と会食を合わせた集まり全体
法事とは、法要にその前後の集まりを加えた全体を指す広い呼び方です。僧侶の読経が終わったあと、参列者が席に着いてお斎と呼ばれる会食を囲み、引き出物を受け取って解散するまでが法事にあたります。法要は法事の中に含まれる一部分、と考えると二つの言葉の関係がつかめます。
家族が「法事があるので帰省する」と言うとき、頭にあるのは読経だけではありません。親族が顔を合わせ、故人を偲んで食事をする一日全体を思い浮かべています。日常の会話で法事と法要が混ざって使われるのは、どちらも同じ日の出来事を指しているためでしょう。案内を受け取ったら、読経だけで解散するのか会食まであるのかを確かめてください。
使い分けは会食を含むかどうかで決まる
二つの言葉を分ける境目は、会食まで含めるかどうかにあります。読経だけを営んで解散するなら法要、そのあと親族で食事の席を設けるなら法事。案内状に「法事を営みます」と書けば、受け取った側は会食まであると受け取ります。読経のみで散会する予定なら「法要のみ」と添えておくと、参列者が予定を立てやすくなるでしょう。
手配の場面でも、この境目は効いてきます。寺へ連絡するときに必要なのは法要の日時ですが、料理店や引き出物の数を決めるには法事全体の出席者数が要ります。どちらの話をしているのかがずれると、料理が余ったり足りなくなったりしかねません。案内を出す前に、会食まで営むかどうかを家族で決めておいてください。
法要の種類
法要は一度で終わるものではなく、命日から数えて何度も節目が訪れます。ここでは、四十九日までの忌日法要と、一周忌から先の年忌法要を分けて見ていきましょう。
忌日法要は命日から七日ごとに営む
忌日法要とは、亡くなった日から七日ごとに区切って営む供養です。故人が七日ごとに生前の行いを裁かれるという考えに沿い、その節目ごとに遺族が冥福を祈ります。初七日を皮切りに二七日、三七日と続き、七回目にあたる七七日が四十九日です。命日を1日目と数えるため、初七日は命日の6日後にあたります。
今は初七日を葬儀と同じ日に繰り上げ、四十九日までの間の法要を省く家も増えました。参列者を何度も呼ぶ負担が重いためです。実際に人が集まって会食まで営むのは、初七日と四十九日の2回という家が多いでしょう。数え方や当日の段取りは四十九日法要とはの記事にまとめたので、日取りを決める前に確かめてください。
年忌法要は一周忌から三十三回忌まで続く
年忌法要は、決まった年の命日に営む供養で、一周忌から始まります。一周忌は亡くなってから満1年目、三回忌は満2年目にあたり、数え年で回数を呼ぶため三回忌だけ年数が1つずれる点に注意してください。以降は七回忌、十三回忌と続き、多くの家は三十三回忌を弔い上げとして区切ります。回忌の数から1を引いた年数が没後の年数、と覚えておけば迷いません。
| 年忌法要 | 営む年 | 招く範囲の目安 |
|---|---|---|
| 一周忌 | 没後1年目 | 親族と故人に親しかった方 |
| 三回忌 | 没後2年目 | 親族と故人に親しかった方 |
| 七回忌 | 没後6年目 | 身内だけで営む家が増える |
| 十三回忌 | 没後12年目 | 身内だけ |
| 十七回忌 | 没後16年目 | 身内だけ・省く家もある |
| 二十三回忌 | 没後22年目 | 省く家もある |
| 二十七回忌 | 没後26年目 | 省く家もある |
| 三十三回忌 | 没後32年目 | 弔い上げとする家が多い |
| 五十回忌 | 没後49年目 | 営む家は少ない |
回忌が進むほど招く範囲は狭まり、身内だけで営む家が増えていきます。三十三回忌で弔い上げとし、以降は個別の法要を営まないのが一般的でしょう。何回忌までいつまで営むかを詳しく知りたい方は、回忌法要の早見表もあわせてご覧ください。

お盆やお彼岸の供養も法要と呼ぶ
忌日法要と年忌法要のほかに、季節の節目で営む供養を法要と呼ぶ場面もあります。お盆に営む供養は盂蘭盆会、春と秋のお彼岸に営む供養は彼岸会と呼ばれ、寺が檀家を集めて合同で読経する形が一般的でしょう。命日から数える忌日法要や年忌法要とは別の暦で回ってくるため、同じ年に回忌と重なる家も珍しくありません。どちらも故人を供養する場である点は変わらないものの、案内の出どころが寺と施主で分かれます。
亡くなって初めて迎えるお盆は初盆、あるいは新盆と呼ばれ、僧侶を自宅へ招いて読経を頼む家が多いところです。二年目からは寺の合同法要に足を運ぶだけで済ませる家もあります。回忌の年に当たっていなくても供養の場はある、と頭に入れておけば案内が届いたときに戸惑いません。初盆の準備と当日の作法は初盆・新盆の準備とマナーの記事にまとめたので、案内を受け取ったら目を通しておいてください。
法事の当日の流れ
法事に招かれても、当日どう進むのかがわからないと落ち着きません。ここでは、読経から会食までの流れを参列者の動きに沿って見ていきましょう。
法事は読経と焼香から始まる
法事の当日は、施主の短いあいさつのあと僧侶の読経が始まります。参列者は開始の30分前までに会場へ入り、受付で香典を渡して席に着きます。読経の途中で焼香に移り、施主から血縁の近い順に香炉へ進むのが一般的な進み方です。焼香の回数は宗派で変わるので、迷ったら前の方にならえば問題ありません。
読経と焼香が終わると僧侶の法話があり、法要そのものはここで幕を閉じます。納骨を同じ日に営む家では、続けて墓地へ移動します。会場が寺院や斎場なら、墓地までの移動時間も見ておきましょう。会食まであるかどうかは案内状に書かれているので、届いた時点で当日の帰宅時刻まで見当をつけておいてください。
納骨をあわせる日は法要のあと墓地へ移る
法要と納骨を同じ日にまとめる家は多く、その場合は読経と法話が終わってから墓地へ移動します。参列者を二度呼ばずに済むためで、四十九日法要にあわせて営むのが通例でしょう。墓前でもう一度僧侶に読経してもらい、遺骨を納骨室へ納めて手を合わせる流れです。会場が寺院で墓が同じ境内にあるなら移動はわずかですが、霊園が離れていれば往復の時間を見ておく必要があります。
参列する側が案内で確かめておきたいのは、当日の所要時間。読経と焼香でおよそ40分から1時間、そこへ墓地への往復と納骨が加わり、会食まであるなら半日は空けておくことになります。屋外で立つ時間が長くなるので、歩きやすい靴を選び、雨具も持って出かけると安心。石材店への依頼や許可証といった施主側の段取りは四十九日法要とはの記事で確かめてください。
お斎は施主の挨拶と献杯で開く
お斎とは、法要のあとに施主が参列者をもてなす会食の席です。施主のあいさつで幕を開け、献杯の発声を合図に箸を進めます。慶事の乾杯とは違い、献杯では杯を高く上げず、唱和も声を張りません。拍手もしないのが弔事の席の作法です。
料理は精進料理や仕出し弁当が定番ですが、近年は形式にこだわらない家も増えました。席では施主が一人ひとりへお酌をしながらお礼を伝えて回り、参列者は故人の思い出を語り合います。締めにもう一度あいさつがあって、引き出物を受け取って解散という流れが通例でしょう。席次や中座の断り方まで含めた作法は法要の食事(お斎)の記事にまとめたので、案内に会食の記載があれば目を通しておいてください。
法事に招かれたときの作法
法事の案内が届いたら、包む金額と表書き、それに服装で迷う方は多いはずです。ここでは、香典の表書きにある宗派差と、服装の選び方を確かめておきましょう。
表書きは忌明けを境に御霊前から御仏前へ変わる
香典の表書きは、四十九日の忌明けを境に書き分けます。通夜から忌明け前までは御霊前、四十九日法要より後の法事では御仏前と書くのが一般的です。故人が四十九日で霊から仏になるという考えに沿った使い分けで、一周忌や三回忌の法事はいずれも御仏前になります。
ただし浄土真宗では、亡くなってすぐ仏になる往生即成仏の教えから、通夜のときから御仏前を用いて御霊前は使いません。
神式では御玉串料や御榊料、キリスト教では御花料と、宗教によって表書きが変わります。故人の家の宗教を確かめてから包みましょう。:::
墨色にも決まりがあります。薄墨は悲しみを表す色として通夜や葬儀で使うもので、日を選んで営む法事では濃い墨でかまいません。包む額は故人との関係で動き、親族なら1万円から、友人知人なら5千円から1万円ほどが一般的な目安。会食に招かれているなら、その分を上乗せして包んでください。
### 服装は案内の言葉に合わせて喪服か略喪服を選ぶ
服装は、案内状の書き方が判断の手がかりになります。何も書かれていなければ喪服で出向くのが基本で、遺族や親族は準喪服を着るのが一般的です。「平服で」と案内されたときは、普段着ではなく黒や紺、グレーの地味な略喪服を選んでください。平服という言葉を字面どおりに受け取ると、一人だけ浮いてしまいかねません。
避けたいのは、殺生を連想させる毛皮や革の飾り、光る装飾、派手なアクセサリーです。回忌を重ねた法事では服装が軽くなる家もありますが、判断に迷ったら施主に尋ねるのが確実でしょう。子どもは制服があれば制服、なければ黒や紺の落ち着いた服で問題ありません。案内が届いたら、当日の朝ではなく前日までに家族の分まで出しておきましょう。
## まとめ
法要とは僧侶の読経による供養の儀式そのもので、法事はその法要に会食や親族の集まりまで含めた広い呼び方です。分ける境目は会食を含むかどうかにあり、案内状の言葉ひとつで参列者の予定が変わります。法要は命日から七日ごとの忌日法要に始まり、四十九日を経て一周忌、三回忌と年忌法要へ続き、三十三回忌を弔い上げとする家が多いところです。当日は読経と焼香のあとお斎へ移り、献杯では杯を高く上げず控えめに行います。香典の表書きは忌明けを境に御霊前から御仏前へ変わりますが、浄土真宗だけは最初から御仏前を用いる点に注意してください。迷ったら菩提寺や葬儀社に率直に尋ねながら進めましょう。
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