初詣に行ってから、喪中は神社を控えるものだと知って青くなる方がいます。家族に連れられて鳥居をくぐってしまった、忌中だと知らずに手を合わせていた、という後からの気づきです。検索して出てくるのは控えるべきかどうかの話ばかりで、もう行ってしまった側に向けた答えはなかなか見つかりません。
先に結論を書きます。神社の公式ページは、参拝してしまった方を咎めていません。産泰神社は、忌中に参拝してしまった場合について、過度に気を病まず次から気を付けましょうと書いています。お祓いを受けなければ取り返しがつかない、といった案内もありません。
鳥居をくぐったこと自体を悔やむ必要もないところ。すでに参拝した後の受け止め方と、そこからできることを順に見ていきます。行く前の判断はほかの記事に譲り、ここでは行ってしまった後だけを扱います。
鳥居をくぐってしまった後の受け止め方
参拝した後に押し寄せるのは、まずいことをしたのではないかという不安でしょう。ここでは、神社の公式ページがこの場面をどう扱っているかを説明します。
神社は参拝してしまった方を咎めていない
参拝してしまった方を、神社は咎めていません。産泰神社は、喪中の初詣について案内したページで、忌中に参拝してしまった場合は過度に気を病まず、次から気を付けましょうと書いています。控えるよう案内している側の神社が、そう述べているところ。お詫びの参拝をするようにとも、お祓いを受けるようにとも書かれていません。
不安が大きいのは、参拝を控えるという情報だけが先に目に入り、外れたときの扱いがどこにも書かれていないからでしょう。実際に案内を出している神社の言葉は、してしまったことを責める向きではありません。
神社が求めているのは、次から気を付けることだけです。
まず、すでに済んだ参拝をどう埋め合わせるかを考えるのはやめて、次の年末年始をどうするかに目を向けてください。
悔やむ対象は鳥居ではなく境内への立ち入り
鳥居をくぐったかどうかは、そもそも問題の分かれ目になっていません。鳥居さえ避ければ参拝してよいという話が広まっていますが、丸亀春日神社はこれをはっきり否定しました。鳥居さえ避ければよいという意味ではなく、神社の敷地に入らないことが本来の意味だと書いています。鳥居の横から入る、裏参道から境内に入るといった行為も、神道の考え方には沿わないとのこと。
控えるとされているのは、鳥居をくぐる動作ではなく境内に立ち入ること自体になります。鳥居や注連縄は神域と人の世を分ける結界であり、忌中は穢れを神域に持ち込まないために自ら距離を保つ期間。丸亀春日神社はそう説明しています。
くぐってしまった鳥居の本数を数えたり、次は横から入ろうと考えたりしても、この説明とは噛み合いません。鳥居という一点だけを取り出して悔やむのはやめて、忌の期間そのものを確かめる方向に切り替えましょう。
罰が当たるという説明は神社の公式ページにない
参拝したせいで罰が当たる、という説明は神社の公式ページに見当たりません。公式に案内を出している神社が書いているのは、忌の間は参拝を控えるという作法と、明けた後は再開して差し支えないという見通しの2つ。破った人への罰則を掲げたページは確認できていません。
不安をあおる文章の多くは、神社が出したものではなく、周辺のコラムや掲示板から広まったもの。神社本庁も、忌を故人の祭りに専念する期間と説明していて、破った場合の罰には触れていません。
家族に不安を伝えられて板挟みになっている方は、神社側が咎めていない事実をそのまま伝えてみてください。
参拝した時期の確かめ方
参拝が控えるとされる時期に重なっていたかどうかは、命日から数えれば分かります。ここでは、忌が明けていた場合の扱いと、忌の日数の幅を確かめます。
忌が明けていれば控える期間ではない
参拝した日に忌が明けていたなら、そもそも控えるとされる期間には入っていません。神社本庁は、忌の期間である50日を過ぎれば、原則として神社の参拝や家庭でのおまつりを再開しても差し支えないと考えられる、としています。喪中かどうかではなく、忌が明けたかどうかが分かれ目。
10月に身内を亡くした方であれば、年末には忌が明けている計算です。この場合、喪中の最中に初詣へ行っていたとしても、控えるとされる時期を外していたことになります。逆に12月の不幸なら、正月はまだ忌の中。自分がどちらだったのかは、命日から50日目がいつだったかを数えれば分かります。
忌が明けたかどうかの数え方と初詣の可否については、喪中の初詣の記事で詳しく扱っています。まず命日から50日を数えて、参拝した日がその前だったのか後だったのかを確かめてみてください。
忌の日数は続柄と神社によって変わる
忌の長さは、亡くなった方との続柄によって変わります。神社本庁が示す50日は、特に慣例がない場合の目安であって、すべての続柄に当てはまる数字ではありません。父母や配偶者を50日、祖父母を30日とする点は複数の神社で共通しているものの、兄弟姉妹や子については神社ごとに20日と50日で割れています。
この日数は法律ではなく、神社が示す慣例です。神社本庁も、特に慣例がない場合という条件を添えたうえで、各地域の慣例に従うのが適切だと書いています。祖父母や兄弟姉妹を亡くした方なら、50日より短い日数で忌が明けていた可能性もあるところ。
続柄ごとの日数と神社による違いは、喪中の神社参拝の記事にまとめています。参拝した日が忌中だったかどうかを正確に知りたい方は、参拝先の神社が示す日数を確かめてから数え直しましょう。
参拝した後にできること
参拝を終えた後でも、手をつけられるところは残っています。ここでは、お祓いの扱いと、お神札やお守り、神棚の3点を見ていきます。
お祓いは参拝前のものとして案内されている
神社本庁が案内しているお祓いは、参拝の前に受けるものです。どうしても忌の間に参拝しなければならない場合は、お祓いを受けてから参拝するのがよいとしています。この順番が入れ替わることはありません。
参拝してしまった後にお祓いを受ければ帳消しになる、と書いた神社の公式ページは確認できていません。:::
参拝後のお祓いについて明文がない以上、受ければ済むとも、受けなければならないとも言えないところ。産泰神社が示した答えが、参拝してしまった場合の扱いとしては最もはっきりしています。過度に気を病まず、次から気を付ける。それでも気持ちが落ち着かないなら、社務所に事情を伝えて相談してみてください。
### お神札とお守りは忌明け後に受ける
新しいお神札は、忌が明けてから受けるものとして案内されています。神社本庁は、年末年始が忌と重なるときは忌明けの後にお神札を受けるよう書いています。古いお守りの返納や新調についても、産泰神社は忌明け後としました。
年末年始が忌と重なった方は、この先の予定として覚えておくと迷いが減ります。北海道神社庁は、家が1年の間喪中であっても、50日が過ぎれば神葬と仏葬にかかわらず新年の神札を受けられると説明。ところが門口の正月飾りは、外に対して1年間は喪家であるため、年賀状と同じく遠慮するとのこと。
お神札は忌が明ければ受けられ、正月飾りは1年控える。
忌が50日、服が1年という長さの違いが、そのまま扱いの差になっています。まだ忌が明けていないなら、お神札を受けるのは明けた後に回してください。
### 神棚を封じていなければ白半紙を貼る
参拝ばかりが気になって、家の神棚をそのままにしている方がいます。忌の間は、神棚の面前に白半紙を貼るか、屏風を立てて隠す方法が案内されています。神棚封じと呼ばれる扱いで、神社本庁と北海道神社庁のほか、太平山三吉神社や丸亀春日神社の説明でも共通しているところ。
神社への参拝と神棚のおまつりは、どちらも忌の間は控えるものとして並べて案内されています。参拝してしまったことを悔やむより、今日から手が届くのはこちらでしょう。まだ忌が明けていないなら、白半紙は今から貼っても遅くありません。
貼った白半紙は忌が明けたら外し、日々のおまつりを元どおりに戻します。神棚が封じられているかどうか、家の中を確かめてみてください。
## 参拝後に不安をあおる説明
参拝した後に検索すると、不安を大きくする説明にも行き当たります。ここでは、一次の情報にあたると裏が取れない3つの話を確かめておきましょう。
### 喪中の1年間は参拝できないという話は忌と服の取り違え
喪中の1年間はずっと参拝できない、という説明を見かけます。これは忌と服を取り違えた誤解です。神社本庁が参拝を控えるとしているのは五十日祭までの忌の期間で、一年祭までの服の期間ではありません。
北海道神社庁も、忌中を死のけがれのある期間で最長50日、喪中を忌明け後に日常へ戻るための心のけじめだと分けて説明しています。喪中と忌中がひと括りにされたまま「喪中は神社に行けない」と書かれるので、1年のどこで参拝しても違反したように読めてしまうわけです。
自分が参拝したのが忌明けの後だったなら、控えるとされる期間ではありませんでした。1年という数字だけを見て気に病む前に、命日から50日目を数え直してみてください。
### 格式の高い神社ほど厳しいという話は裏が取れない
有名な神社や格式の高い神社ほど喪中の参拝に厳しい、という話が流れています。ところが、そう掲示している神社の公式ページは見当たりません。伊勢神宮のよくある質問には、喪中や忌中の項目そのものが置かれていません。出雲大社や明治神宮も、この件で公式の案内を出しているページは確認できていないところ。
公式ページで案内を出している神社は、いずれも忌が明けた後の参拝を差し支えないとする側です。厳しさが神社の規模や格式で変わるという説明は、神社側から出たものではありません。
大きな神社に参拝してしまって不安になっている方は、その神社の公式ページを見て、記載がなければ社務所に直接尋ねるのが確実でしょう。人づての話より、参拝した神社自身の答えを取りにいってください。
### 参拝を禁じた法令はない
忌中や喪中の参拝を禁じた法令は、現在は存在しません。忌と服の日数は、江戸幕府が定め明治政府が引き継いだ服忌令に由来するとされます。北海道神社庁は、明治7年まで国が定めていた服忌の規定があり、その後は民間習慣として受け継がれてきたと説明しています。
神社が示す日数も、法律ではなく慣習です。喪中にいたっては日数の定めがなく、個人の心情に委ねられていて、長くても1年とされています。決まりを破ってしまったと感じている方は、破る対象となる決まりがそもそも無いことを知っておくとよいでしょう。
作法として受け継がれてきたものである以上、守れなかったことに罰則はありません。慣例に沿うかどうかは、地域や家の考え方と相談して決めてください。
## 次の参拝の決め方
同じ迷いを繰り返さないために、次の参拝の日取りを決めておきましょう。ここでは、忌明けの数え方と、忌の間に手を合わせる方法、神社への確かめ方を説明します。
### 忌が明ける日を命日から数える
次の参拝の日は、命日から数えれば決まります。父母や配偶者を亡くした場合なら、命日から50日目が忌明けの目安。12月10日が命日であれば、忌が明けるのは翌年1月28日ごろになります。
三が日に間に合わなくても、初詣として手を合わせてかまいません。松の内を過ぎた参拝を禁じた案内も見当たらないところ。忌が明けた後なら、新しいお神札やお守りも一緒に受けられます。
年末年始は日取りの相談ごとが集中するので、先にカレンダーへ忌明けの日を書き込んでおくと迷いません。命日から50日を数えて、参拝できる最初の日に印を付けてみてください。
### 忌の間に手を合わせたいなら寺院を選ぶ
忌が明けるまで待てない事情があるなら、寺院という道が残っています。産泰神社は、仏教や浄土真宗をはじめとする寺院への参拝は、忌中であっても基本的には問題ないと書いています。控えるよう案内している神社の側が、そう述べているのは見逃せないところ。
忌の考え方は、けがれを神域に持ち込まないという神社側の説明に基づくもので、寺院にはその前提がありません。すでに神社に参拝してしまい、それでも年明けに手を合わせたい気持ちが残っているなら、参る先を寺院に変える手があります。
ただし菩提寺の考え方や宗派によって扱いが変わる場合もあるでしょう。年内に足を運ぶ予定があるなら、参る予定のお寺に一度尋ねてみてください。
### 参拝先の神社に直接尋ねる
忌の日数や参拝の扱いは、神社ごとに案内が違います。公式ページで服忌の日数まで示している神社もあれば、まったく触れていないところもあるからです。参拝してしまった件が気にかかるなら、その神社に尋ねるのが最も早い解決になります。
ほかの神社の日数をそのまま当てはめると、続柄によっては判断がずれます。神社本庁も、各地域の慣例に従うのが適切だと書いているところ。最後に頼りになるのは、地元の神社と親族の判断でしょう。
年末年始の社務所は混み合うので、時期をずらして連絡すると落ち着いて答えをもらえます。電話でも受け付けている神社は多くあるため、参拝した日と続柄を伝えて聞いてみてください。
## まとめ
喪中に鳥居をくぐってしまった、神社に行ってしまったという場面について、神社の公式ページは咎めていません。産泰神社は、忌中に参拝してしまった場合は過度に気を病まず、次から気を付けましょうと書いています。参拝後にお祓いを受ければ帳消しになる、と書いた神社の公式ページは確認できていません。鳥居をくぐったかどうかも分かれ目ではなく、丸亀春日神社は鳥居さえ避ければよいという意味ではないと否定しています。控えるとされているのは境内に立ち入ること自体で、罰が当たるという説明も公式には見当たりません。参拝した日に忌が明けていたなら、そもそも控えるとされる期間ではありませんでした。まず命日から50日を数えて、参拝した日がその前後どちらだったかを確かめ、次の参拝の日を決めてください。
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