年が明けたらLINEに何と送ればよいのか、身内を亡くした年の年末に手が止まる方は多いでしょう。友人からの一斉送信、グループLINEのやりとり、職場のチャット。はがきと違って、送る相手も届く速さもばらばらです。
調べても、はっきりした答えは出てきません。日本郵便が公開しているのは郵便の文例で、LINEやメールには一言も触れていないためです。宗教機関や公的機関にも、この場面を扱った案内は見当たらないところ。
作法が決まっていないのなら、自分で決めるしかありません。手がかりになるのは、忌が明けたかどうかと、相手との関係の2つだけ。ここでは、送る文面、グループLINEや一斉送信の扱い、職場での線引き、届いた挨拶への返し方までを順に見ていきます。対面や電話での言葉づかいは喪中の新年の挨拶にまとめているので、あわせて読み進めてください。
喪中のLINE・メールの新年の挨拶の考え方
LINEやメールの新年の挨拶は、正解を探しても見つかりません。ここでは、作法が決まっていない事情と、代わりに何を手がかりにすればよいのかを説明します。
LINEやメールに固有の作法はまだない
LINEやメールの新年の挨拶に、確立した作法はまだありません。年末年始のやりとりについて明文を公開しているのは日本郵便くらいで、そこに載っているのは年賀状と寒中見舞いという郵便の文例だけ。LINEやメールに何と書くべきかを述べた記述は、公式ページのどこにも見当たりません。神社本庁や寺院の公式サイトにも、この場面を扱った案内はないところ。
そもそも喪中はがきという慣習自体、戦後に広まったものだとされます。はがきの作法ですら受け継がれてきた習わしにすぎず、決めた主体がいません。ましてLINEは、その慣習ができあがった後に現れた道具。「LINEではこうするのがマナー」と断定するページを見かけても、根拠まで示したものはほとんど見当たらないはずです。
LINEの新年の挨拶に、守らないと失礼にあたるような決まりはありません。
マナー違反かどうかを探すより、自分と相手の事情から決めてよいと考えて読み進めてください。
判断の軸は忌が明けたかどうかと相手との関係
決まった作法がない以上、手がかりは2つに絞られます。1つは忌が明けたかどうか、もう1つは相手との関係です。神社本庁は、故人の祭りに専念する期間を忌と呼び、忌の間は神社への参拝や神棚のおまつりを控えるとしています。50日を過ぎれば原則として参拝を再開しても差し支えないと考えられる、というのがその見解。喪中というひと括りではなく、忌が明けたかどうかで扱いが変わる点は、正月まわり全体に共通します。
福島県神社庁も、忌明けをしていれば正月を迎えることも年賀状を出すことも支障はないとしています。書面の挨拶が忌明けで再開できるのなら、LINEやメールをそれより厳しく扱う理由は見当たりません。もう1つの軸である相手との関係では、喪中を知っている相手か、事情を知らせていない相手かで書き方が変わってきます。12月に身内を亡くした方は、まず命日から50日を数えて、年明けが忌の内側に入るかどうかを確かめてみてください。
はがきの文例はメールにそのまま当てはまらない
郵便の文例をそのままメールに移すと、かえって不自然になります。日本郵便が公開しているのは、年賀状を出さないことを知らせる書面と、寒中見舞いという書面の文例。どちらも紙に印刷して届ける前提で、時候の挨拶から書き起こす形をとっています。画面に届く数行のメッセージとは、長さも読まれ方も違うもの。
文例には句読点を使わない、頭語と結語を省くといった慣習も付いて回ります。これらはいずれも紙の書面について語られてきたものであって、根拠となる規定は見つかっていません。LINEの吹き出しから句読点を抜けば、読みにくくなるだけでしょう。書面の作法をそのまま持ち込まず、画面で読みやすい形に直して送ってみてください。
LINE・メールで送る文面
作法が決まっていないと分かっても、年明けに一言送りたい相手はいます。ここでは、実際に送る文面の長さと、喪中を書き添えるかどうかの決め方を説明します。
文面は短くして祝いの言葉を外す
送る文面は、短くまとめて祝いの言葉だけを外します。喪中の側が「明けましておめでとうございます」を口にしない慣習は広く知られていて、LINEやメールでも同じように避ける方が多くいます。外すのは賀詞と呼ばれる祝いの言葉で、それ以外の言葉づかいまで変える必要はないところ。
具体的には、去年の礼と今年の付き合いのお願いを一言ずつ置けば足ります。2行あれば十分で、長い文面にすると、かえって何かを釈明しているように読まれてしまうもの。祝いの言葉を避けた言い換えの一覧は、喪中の新年の挨拶に場面ごとにまとめてあります。送信する前に、祝いの言葉が混ざっていないかだけ読み返してみてください。
喪中を書き添えるかは相手との関係で決める
喪中だと書き添えるかどうかは、相手との関係で決めます。毎年やりとりしている友人や、いずれ事情を知ることになる相手であれば、一言添えておくほうが後の行き違いを防げるでしょう。年に一度だけ挨拶を交わす相手に事情を書くと、相手は返事に困ってしまいます。
書き添えるなら、昨年父が亡くなったので新年の挨拶は控えている、という一文で足ります。経過や病名まで書けば、相手は悔やみの言葉を探すことになり、やりとりが重くなるもの。黙っていることを咎める決まりも、どこにもありません。
伝えない選択も、伝える選択と同じだけ自然です。
相手ごとに、伝えるか伝えないかを年内のうちに決めておきましょう。
華やかな画像やスタンプは送らずにおく
年賀の画像やスタンプを付けるかどうかも、決まりを探しても出てきません。門松や鶴の描かれた画像は祝いの意匠にあたるため、避けておく方が多いようです。ただし、これを避けるよう明文で述べた機関は見当たらず、判断は自分に委ねられています。
迷ったときは、文字だけで送れば済む話。装飾を外しても挨拶としては十分に成立し、相手が身構えることもないでしょう。喪中を知らせていない相手には、画像がないこと自体で事情が伝わるとは限らない点も覚えておきたいところ。スタンプを使いたいなら、季節ものではなく普段のやりとりで使うものを選んでみてください。
グループLINEと一斉送信の扱い
個別のやりとりと違い、大勢が見ている場では自分だけ動きを変えにくくなります。ここでは、グループLINEと一斉送信のメールについて、どう構えるかを説明します。
グループLINEでは自分だけ黙らなくてよい
グループLINEに祝いの言葉が並んでも、自分だけ黙り込まなくて構いません。参加者の全員が喪中を知っているとは限らず、返信がないことに気付く人もいます。祝いの言葉を使わずに「本年もよろしくお願いします」とだけ送れば、流れを止めずに済むもの。読んだまま何も返さない形でも、咎められる筋合いはないでしょう。
自分の書き込みが、ほかの人の祝いの言葉を止めてしまう心配もあります。喪中だとグループ全体に伝えれば、以降のやりとりは気を遣ったものへ変わってしまうところ。親族のグループなら事情はすでに共有されていますが、友人や職場のグループでは伝えない形のほうが収まります。相手の言葉を止めない書き方を選んでおきましょう。
一斉送信のメールには個別に返さなくてよい
宛先に名前が並んだ一斉送信のメールは、律儀に返さなくても差し支えありません。差出人はこちらの事情を知らずに全員へ送っているだけで、一通ずつの返信を待っているわけでもないでしょう。喪中だと知らせるためにわざわざ返信するのでは、本末転倒になります。
返すのであれば、差出人だけに宛てて短く送ります。全員へ返信すると、事情を知らない人まで巻き込むことになり、相手も戸惑ってしまうもの。返さないことを失礼だと述べた資料は、探しても見つかりません。年明けに届いた一斉送信は、読んだままにしておく判断でよいと考えて構いません。
職場でのLINE・メール
職場のやりとりは、送る相手を自分で選べません。ここでは、指針があるのかどうか、忌引休暇の日数、社内チャットでの挨拶を順に確かめます。
職場の喪中に公的な指針はない
職場で喪中をどう扱うかについて、公的な指針は存在しません。厚生労働省にも経団連にも日本商工会議所にも、喪中の挨拶や年賀状を扱った記述は見当たらないところ。冠婚葬祭の業界を束ねる全日本冠婚葬祭互助協会は経済産業大臣の認可を受け、199社が加盟していますが、その案内にも喪中や年賀欠礼という項目自体がありません。
「取引先には知らせず通常どおり年賀状を出す」といった説明は、あちこちで流れています。ただし、これを書いているのは年賀状の印刷会社と葬儀社のコラムだけ。業界として決めた作法ではなく、守らないと咎められる類いの話でもありません。
職場の喪中の扱いを決めた団体は、どこにも見当たりません。
勤め先の慣習が分からなければ、上司や総務に一言確かめておきましょう。
忌引休暇は法律で日数が決まっていない
挨拶と違い、休暇の扱いには確かめられる事実があります。慶弔休暇はいわゆる法定外の休暇で、労働基準法に日数の定めはありません。厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインでは福利厚生として扱われ、パートや有期契約の方にも通常の労働者と同一の付与が必要だと示されています。日数を決めているのは、あくまで勤め先の就業規則です。
目安として引かれることが多いのが、国家公務員の特別休暇。人事院規則15-14の別表第2では、親族が亡くなった場合の日数が次のように定められています。
| 続柄 | 日数 |
|---|---|
| 配偶者 | 7日 |
| 父母 | 7日 |
| 子 | 5日 |
| 祖父母 | 3日 |
| 孫 | 1日 |
| 兄弟姉妹 | 3日 |
この日数は国家公務員の特別休暇であって、民間企業に適用されるものではありません。なお、条文に忌引という語は使われていません。:::
自分の会社の日数は就業規則で確かめて、年末年始をまたぐ場合は取り方も含めて総務に相談してみてください。
### 社内チャットの挨拶はいつもの言葉づかいで通せる
社内チャットの年始の挨拶は、いつもの言葉づかいのまま通せます。全員が見るチャンネルに流れる挨拶は会社の行事として交わされるもので、個人の喪とは別の話。そこで自分だけ書き方を大きく変えると、事情を知らない同僚が理由を探し始めます。
祝いの言葉を外したいのであれば、去年の礼と今年のお願いの2文を書けば足ります。全員宛のチャンネルで喪中に触れると、以降そこに書き込む人が言葉を選ぶことになり、かえって場が固くなるもの。伝えるなら、上司や同じ班の数人に個別のメッセージで知らせるほうが範囲を絞れます。年内のうちに、誰に伝えて誰に伝えないかを決めておきましょう。
## 新年の挨拶が届いたとき
自分から送らないと決めても、相手から届く挨拶は止められません。ここでは、届いたメッセージへの返し方と、文字で伝えるときに気を付ける点を見ていきます。
### 返信は急がなくてよい
届いた挨拶に、すぐ返さなければならない決まりはありません。LINEは既読が付くため、相手を待たせている気になってしまうもの。ところが年明けの数日は誰もが慌ただしく、返信が遅れること自体は珍しくもないでしょう。返信の速さについて何かを述べた資料も、郵便の文例を含めて見当たらないところ。
言葉を選ぶ余裕がないまま返すと、うっかり祝いの言葉が口を突いて出ます。落ち着いてから、去年の礼と今年のお願いだけを短く返せば十分。三が日を過ぎてからの返信でも、遅れた詫びを一言添えれば角は立ちません。すぐに返さないと決めておけば、通知が届くたびに身構えずに済みます。返す言葉を年内に一つ用意して、下書きに残しておきましょう。
### スタンプだけで返しても差し支えない
返し方の作法も、決めた主体がいません。スタンプ一つで返したとして、それを失礼だと述べた資料は見当たらないところ。相手が喪中を知っているなら、言葉を探させずに済むぶん、短い返しのほうが助かる場合もあります。文章で丁寧に返すほど相手が恐縮する、という場面も起こりがち。
選ぶなら、祝いの意匠が入っていないスタンプにします。礼を述べるだけのものであれば、祝う意味を含まずに受け取った気持ちを返せるでしょう。門松や鏡餅の絵が入ったものだけを外せば、あとは普段使っているスタンプで構いません。相手が喪中を知らない場合も、スタンプなら事情を説明しないまま会話を閉じられます。手持ちのスタンプを年内に見ておくと、当日に慌てずに済むはず。
### 喪中を文字で伝えると相手にも記録が残る
文字で伝えた喪中は、相手の画面に残り続けます。対面で伝えた一言と違い、後から読み返せて、そのまま転送もできてしまうもの。親族の名前や亡くなった経過まで書くと、意図しない相手にまで届く場合があります。
伝えるなら、続柄と、新年の挨拶を控えている旨だけに絞ります。グループのやりとりに書くのではなく、個別のメッセージで送るほうが届く範囲を狭められるでしょう。相手が気を遣って周囲に知らせることもあるため、広まって困る話は文字にしないほうが無難。相手の側が喪中を知ってどう振る舞うかは、[喪中の人への接し方](/mochu-yoi-otoshi-wo/)で説明しています。伝える相手と文面を決めてから、送信ボタンを押してください。
## まとめ
喪中のLINEやメールの新年の挨拶に、確立した作法はまだありません。日本郵便が公開している文例は郵便に限られ、LINEやメールへの言及は一つもなく、宗教機関や公的機関にも記述は見当たらないためです。喪中はがきの慣習そのものが戦後に広まったものである以上、後から現れたLINEに固有の作法ができていないのは当然のところ。手がかりになるのは、忌が明けたかどうかと、相手との関係の2つだけ。実際に送る文面は、去年の礼と今年のお願いを一言ずつ置いた2行で足ります。職場についても、厚生労働省や経済団体、冠婚葬祭の業界団体に喪中を扱った項目はなく、確かめられるのは忌引休暇が法定外の休暇である点くらい。マナー違反かどうかを探すのをやめて、伝える相手と送る文面を年内に決めておきましょう。
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